1500円で楽しめ!コンビニ飲み選手権!
外でお酒が飲めない時代がやってきた。酒場は休業を余儀なくされ人々は外で飲む自由を失った。
しかしお酒を楽しむ自由はまだ残っている。
私カローサムも家で飲む自由を謳歌している。仕事を終え家に戻りハイボールを飲む。田舎の直売所で売られている野菜を焼くだけで一人暮らしの男には十分なおつまみだ。
薬味をたっぷり載せた焼き茄子を口に運ぶ。すかさずよく冷えたハイボールを流し込む。ウイスキーの香りが炭酸一粒一粒から弾ける。よく冷えた炭酸が全身を駆け巡る余韻に浸りながら私は部屋でつぶやいた。
本気のコンビニ飲みがしたい。
コンビニ飲みの魅力
コンビニで揃えた宅飲みは妥協の産物と思う人は少なくない。こだわりの宅飲みといえば珍しい酒や、手作り料理が注目される傾向にある。
しかし私はコンビニ飲みこそセンスが問われると考える。惣菜、弁当、スナック、酒、スイーツ。あらゆる商品の中から自分のスタイルを作り出せる人間こそ、宅飲み上級者と言えるのではないか?
そんなわけで私はコンビニ飲みのセンスを競い合う人間を探すことにした。コンビニ飲み選手権の幕開けである。
私がツイートすると数名の戦士から参戦表明を受けた。今回の参加者は皆コンビニ飲みのセンスを発揮する場に飢えた獣と思っていただいて構わない。
今回の参加者
1.カローサム
今大会の発起人。コンビニ利用頻度は週2回程度。
2.奥村にに子
参加者①、イタリアンでバイト経験あり。
3.ソンブレ郎
参加者②、家のトイレにウォシュレットがない。
4. 2走.(トゥーランドット)
参加者③、名前を正しく読まれたことがない。
ルール説明
①理想のコンビニ飲みに必要な食べ物、酒を合計1500円以内でそろえる。
②あくまでコンビニ飲みの体裁を持つため調理の必要な生鮮食品は禁止。
③利用するコンビニは参加者全員の最寄りであるセブンイレブンに限定する。セイコーマートのようなローカルコンビニの使用は今回の趣旨に反する。
エントリーNo.1 カローサム
カローサム「ビールに合うおつまみとデザートを合わせました。」
カローサム「はじめはさっぱりした枝豆と山芋に一番搾りを合わせます。スッキリしたビールと野菜系のおつまみの相性は抜群です。」
カローサム「一番搾りを飲み終える頃にレンジで温めていたたこ焼きが出来上がります。味の濃いたこ焼きにはホップの効いたIPAを合わせます。ホップの苦味がソースの甘味とマッチします。」
「たこ焼きとビールを平らげたら最後にプリンを食べてフィニッシュです。」
2種類のビールを軸に展開したカローサム。このまま逃げ切れるか?
エントリーNo.2 奥村にに子
続いてのチャレンジャーはイタリアンでバイト経験のある奥村にに子。飲食店経験者の意地を見せられるか?
にに子「気取らないイタリアンをテーマに揃えました。」
にに子「まずはコーラと赤ワインのカクテルカリモーチョを作ります。アルコール度数が低くなるのでお酒に弱い方や喉が渇いている時におすすめの一杯です。マルゲリータを温める間はこれとポテトサラダでつなぎます。」
「メインとなるマルゲリータは赤ワインといただきます。熱々のマルゲリータと冷やした赤ワインは鉄板の組み合わせです。タバスコを多めにかけるとこの後の白桃アイスの甘みがより際立ちます。」
得意のイタリアンのフィールドで立ち回ったにに子。金のマルゲリータは死ぬほどおいしいよ。
3.ソンブレ郎
続いてのチャレンジャーはソンブレ郎。居酒屋では気に入ったつまみを3皿連続で頼む漢。コンビニ飲みではどのようなチョイスを見せるのか?
ソンブレ郎「皆さんカッコつけすぎです。コンビニ飲みの『誰にも見られてない』という性質を活かしてもっと好き勝手していいと思います。」
ソンブレ郎「たらふく食ってたらふく飲むをテーマにしました。にんにく醤油漬けをつまみながら男梅サワーを飲みます。カリカリ梅を入れるのがこだわりです。」
ソンブレ郎「食欲が湧いてきたところで温めた炒飯と餃子をかっこみます。こういうジャンクな料理と合わせて初めて男梅サワーは真価を発揮します。」
ソンブレ郎「そして腹が満たされてきたところにすかさずとんこつまぜそばと角ハイボールをぶち込みます。この条件の時にのみ分泌されるアドレナリンが間違いなくあるのでそれも含めてお楽しみください。」
ロング缶2本にオール炭水化物というチョイスを見せたソンブレ郎。逆転の可能性はまだ残っているぞ!
エントリーNo. 4 2走.(トゥーランドット)
最後のチャレンジャーはトゥーランドット。きっちりトリを飾ることはできるのか?
2走.「いらっしゃいませ」
2走.「ハイボールを御用意致します。まずは十分に冷やしたグラスにたっぷりの氷とウイスキーを入れます。この時一度混ぜてウイスキー自体も冷やします。」
「ウイスキーが冷えたところで炭酸水を注ぎます。この時氷に当たらないように注ぐのがポイントです。ウイスキーと炭酸を1:4の割合で注いだら炭酸が抜けないように優しく一周だけ混ぜます。これでハイボールは完成です。」
「今回はこちらのレーズンチョコと甘口のミックスナッツをご用意しました。合わせてお楽しみください。強いお酒がお好みの方にはロックもおすすめです。」
「さらに今回はパイナップルを使った夏にピッタリのカクテルもご用意しました。」
「まずミキサーに冷凍パイナップルとパインジュース、ウイスキーを入れミキサーにかけます。」
「ミキサーにかけたパイン、氷をグラスに入れ、飾りのパインをつければパイナップルハイボールの完成です。トロピカルでウイスキーの苦手な女性にも飲みやすいカクテルとなっております。」
「以上が私のコンビニ飲みレシピでございます。皆さんもぜひお試しください。」
カクテルと軽いスナックのみという変化球を繰り出した2走.。ミキサーは反則ですが見逃しましょう。全員のコンビニ飲みが出揃いいよいよ結果発表です。
結果発表!
それぞれが独自路線を見せた今回のコンビニ飲み選手権。長かった審査が終わりようやく結果発表です。果たして優勝は誰の手に…?
優勝はカローサムに決定しました。バランスの良い飲み方が他の審査員から高評価を得ました。
カローサム「ありがとうございます、今度はバドワイザーとブリトー、ポップコーンで『アメリカの終わってる若者』の飲み方をしようと思います!」
にに子「おめでとー!悔しいけど完敗だね!」
ソンブレ郎「次はまけねぇからな!」
2走.「…不覚。」
カローサム「みんな…ありがとう…!ありがとう…!」
4人は互いの健闘を讃え合い夜が明けるまで飲んだ。それはオンラインとは思えぬほど固い絆で結ばれた飲み会だった。戦いの中で芽生えた奇妙な友情がそこにあった…!
カローサム「しかしこの戦いが序章に過ぎないことをカローサムはまだ知らない…っと。」
こんにちは、実写のカローサムです。ここに来たということは皆さん全部お見通しというわけですね。
そうです、今回のコンビニ飲み選手権は全て私一人で行われた自作自演です。騙すようなマネをして申し訳ありませんでした。
コンビニ飲み選手権のツイートから数週間、待てど暮らせど参加希望者は現れませんでした。そのため私はこの選手権を成立させるために3人の人格を作り出し選手権を強行しました。
3人は私の選手権にとって理想的な動きをしてくれました。なにせそのために産まれたんですからね。3人のコンビニ飲みは全部私がいただきました。今回の記事は私が望んだ儚いユートピアってわけです。ははは…。
バァン!
でもね、理想郷を夢見ることがそんなに悪いことですかねぇ?ぼくがどんなに優しくしたって現実は辛いことばかりじゃないですか!?誰もが優しさを求めているはずなのに優しさを与えてくれる人はごく僅かじゃないですか!そんな稀有な人を探しながら死んでいくのなんてぼくは死んでもごめんですよお!
グビグビグビグビ!
大体ねぇ、近頃の選手権記事なんてねぇライター同士の馴れ合いに過ぎないんですよ!面白い記事を書こうっていうねぇ、ヒリヒリ感が感じられませんよ!「仲良くやってますんで、1つ笑ってくださいや。へへへ。」っていう大衆に迎合した姿勢が透けて見えるんですわ!
ブックのあるプロレスもねぇ!「もしかして真剣じゃないのか?」と思わせる凄みがあってこそ輝くんですよ!それと同じなんですよ!その凄みが消えた時にあらゆるエンタメが死ぬんです!馴れ合った瞬間に枠に閉じ込められてしまうんです!
グビグビグビグビ!
既存の枠にはまった人間がクリエイター気取るほど恥ずかしいことなんてありませんよ!枠を嫌う不良が紋切り型のグレ方をするようなもんですよ!あーーーーーーーーーーーもう!!!
狂ってる人に独創性なんてないですよ!精神を病むのだって病気なんですから!風邪ひいたらみんな熱出して咳き込むんですよ!なんで狂気だけ独創性に溢れてると思うんですか!?ただの病人に独創性なんて求めないでくださいよ!自分を特別な人間と勘違いするなんて思い上がりも甚だしいですよ!
グビグビグビグビグビグビグビグビ!
グビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビグビ………
ぐぅ。
おわりに
ここまで読んでくださった皆様、大変お見苦しいところをお見せいたしました。今回私カローサムは自粛ムードで自由にお酒を楽しめない皆様に少しでも楽しい飲み方を提案しようと今回の「コンビニ飲み選手権」を開催いたしました。
今回の企画は残念なものとなりましたがコンビニの新たな楽しみ方を私自身再発見しました。もしここまで記事をご覧いただいた方がいらっしゃれば是非1500円縛りでコンビニの商品を眺めてみていただければと思います。
今後もいつもの日常とは程遠い日常が続くかと思いますが、そんな日常の中で皆様が楽しみを見つけられることを心より願っております。
おわり
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