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太陽の恵み

2010年7月17日日経新聞夕刊に掲載されたものを修正加筆したものです。

 梅雨空が続いていたころ、めっきり太陽とご無沙汰だった。ヒマラヤにいた時の刺さるような日差しが懐かしい。空は目を細めるほど眩しいのにどこか蒼(あお)黒い。強烈な太陽光はじりじりと肌を焦がし容赦なく目の網膜を焼いてしまう。宇宙を間近に感じる高所では太陽との付き合い方を真剣に考えなければいけなかった。

 そんなヒマラヤを思い出しながら、庭のプランターで真っ赤に実をつけたトマトを見ていた。トマトは僕たちのように足があるわけではない。そのため直射日光や寒冷、干ばつ、風、雨、宇宙線といった放射線などの酸化ストレスから自分自身を守らなければいけない。
 トマトが持っているのはリコピンというβカロチンの2倍、ビタミンEの100倍に及ぶ強力な抗酸化物質である。これは植物由来のフィトケミカルと言われている物質で、トマトの赤みがそれにあたる。最近ではがんの予防に役立つといわれている。フィトケミカルはトマトだけではなく、あらゆる植物に含まれおり、その作用と含有量は色で識別される。なぜならフィトケミカルとはその植物の持つ色そのものだからだ。そのため太陽の恩恵とストレスを多く得た野菜や果物は色鮮やかでそれだけ抗酸化作用も高いのだ。

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