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子供に何を贈るか

2010年12月25日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 僕の父(雄一郎)は孫たちに「おじいちゃん」ではなく「スーパージィ」と呼ばせている。そのスーパージィが僕の息子の雄豪にスキーとブーツをクリスマスプレゼントとして買ってくれた。子供用とはいえセットで2万円と高価で、2歳半にはまだ早いかなとも思ったが、ちょうどいいサイズがあり、一緒にスキーを楽しめるならと奮発してくれた。
 実際に滑ってみると立つのがやっとで、スーパージィのスキーの間にぶら下がりながら滑ってきた。足元で流れる雪が珍しいのか、ずっと下を眺めており、そして降りてくると、「スキー、楽しかった」といい、本人も父も満足げであった。

 三浦家は、体を使う玩具には昔から贅沢してきた。父は40年前、車を買わないで、代わりにまだ日本に2台しかないという競技用のトランポリンを購入した。さらにスケートボード、一輪車、インラインスケートなどなど、次々新しいスポーツ用具を玩具として子供の頃から楽しんできた。
 最近、このように体を使って遊ぶ玩具は「スポーツトイ」と呼ばれており、先日、この専門店を自転車通勤の途中に見つけた。店の中には見たこともない海外製の玩具があふれており、様々な工夫で子供から大人まで楽しめるようになっている。店のオーナーはスポーツブーメランの第一人者、小林美紀さん。体を動かして遊ぶことを一人でも多くの子供に伝えようと海外のスポーツトイを輸入する「ラングスジャパン」を1987年に設立した。

 日本の子供たちは学校、塾、習い事に忙しく、遊びはもっぱらテレビケームなど内向的なものとなっているのが現状だ。体を動かして遊ぶ機会が少なくなったせいか、子供の肥満率は過去30年で3倍となった。僕は、最近の学力低下は体力の低下によるものだと考えている。
 米イリノイ大学の精神生理学者、チャールズ・ヒルマン助教授は小学3年生~5年生、216人を対象に健康と学業の間に相関関係があるかどうかを調べた。結果、健康的な生徒の脳の方が脳電図は活発な働きを見せ、より調和がとれていることが分かった。

 子供の脳の発達は体を動かしてこそ高められる。スポーツトイのように遊びの中で体力も脳も自然と発達していくのが理想的。子供の遊びを考えたい。

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