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給食が夢を育てる

2015年5月30日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 僕が通っていた札幌の盤渓小学校では秋の収穫の時期になると普通の給食に加え学校で育てていた新ジャカをふかして出してくれた。採りたてジャガイモにバターをつけてほおばるだけで、なんとも幸せな気持ちになったのを覚えている。
 こんな給食の思い出を、横浜みなとみらいで24日に行われたウオーキングイベント「WFP(世界ショック量計画)ウォークプラザ」で横浜の名所を歩きながら参加者と話をしていた。

 WFP主催のこのイベントは今年で10年目、晴れ渡る横浜臨港パークには4000人を超える参加者が集まった。参加費の一部は貧困で給食が十分に行き渡っていない地域や国々に給食を届け、子供達が飢えることなく学校に通い、その地域が将来、貧困を克服できるよう働きかける学校給食プログラム「レッドカップキャンペーン」にあてられる。
 開会式では最初に国連WFP協会の安藤宏基会長が挨拶を行った。安藤会長は「30円あれば1人の子供に1食分の給食を食べさせることができる。現在世界では6600万人がおなかをすかせた状態で学校に通い、さらに通うことすらできない子供が5800万人いる」と話した。
 WFPのプログラムは給食を行き渡らせることで就学率と出席率を上げ、また給食によって親も子供を働かせるのではなく学校に通わせることを選ぶようになるのではと考えて、精力的に給食プログラムを進めている。

 この日はゲストにスキーのノルディック複合2大会五輪金メダリスト、通称「キング・オブ・スキー」の萩原健司さんと同ノルディック複合日本代表で現在はスポーツキャスターとして知られる荻原次晴さんが来てくれた。
 2人はステージから「家は5人兄弟、特に僕たち2人はいつも練習でおなかを減らして大食いだったので家を困らせた。本当に給食が無かったら大変なことになっていた。スポーツをするのにも勉強をするのにも給食は重要だ」と呼びかけてくれた。
 成長期の子供は食事により健全な脳と体の発育が促され、情緒が安定する。飢餓に直面している地域で、子供達が学校に行くと確実に給食が得られるのであれば、それが彼らの夢や希望の土台となる。今後も学校給食プログラムを応援

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