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梅雨の時期の健康法

2015年7月11日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 梅雨になり、じめじめした天気にうんざり、太陽が恋しく思う人も多いのではないか。こうした気分は梅雨の薄暗く湿った空気により自律神経が副交感神経優位になることからきている。自律神経には副交感神経と交感神経があり、副交感神経はリラックスを促し、体を休めさせようとする。しかし、その反面これが持続すると気だるい気持ちになり、何をするにもおっくうになりがちだ。
 交感神経は興奮や覚醒を促す。仕事や勉強の恒常的なストレスは交感神経を常にオンにする。これは様々な体の悪影響が指摘され良いイメージはない。ただ、その刺激が少な過ぎても良くない。今年の梅雨前線は日本列島に長く居座る予報が出ている。自律神経のバランスを整えるため、いくつか交感神経を高める方法を知っておいてもいいだろう。
 その一つはお茶やコーヒー、紅茶だ。それらに含まれるカフェインは交感神経を高める。しかし、面白いことにカフェインは高ぶりすぎた交感神経を抑える効果もある。自律神経のバランスをとるにはもってこいだ。雨を眺めながら適度適量(コーヒー1~2杯、お茶類4~5杯/1日)なティーブレイクはどうだろう。
 雨対策をして外の運動もお勧めだ。運動によって気持ちもすっきりするし、雨の日のランニングなどむしろ適度に湿度はあるため呼吸にも優しい。 
 外に出る準備や、ぬれることを嫌う人には乾布摩擦がいいだろう。乾布摩擦は昔から日本の伝統的な健康法。乾いたタオルを使って全身をこすり、刺激する。直接肌をこすると肌の角質がはがれるといわれ、皮膚の弱い人には勧められないが、最近では服の上からこする方法が考案された。こうした全身摩擦による刺激は延髄を介し、脳の中にある迷走神経に影響を及ぼし交感神経を高める。
 実は父の雄一郎も何と小学生の時から今に至るまで毎日欠かさず乾布摩擦を行っている。エベレストのベースキャンプでも早朝、外はマイナス10度、裸になり岩の上に立ち、堂々と乾布摩擦を行っていた。エベレスト遠征ではアタックに備えた長い待機時間がつきもの。こうした時間も乾布摩擦をすると「なんだかやる気になってくる」と言っている。
 梅雨の時期が終われば夏間近、体調を今から整え、暑い夏を乗り切る準備をしよう。

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