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アウトドア活動の意義

2018年4月28日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 先日、父の三浦雄一郎がスペシャルアドバイザーを務めるジャパンアウトドアリーダーズアワード(JOLA)の表彰式が行われた。JOLAはアウトドア活動を通じて生きる力を身につけることを目的に、次世代につながる活動に励む個人を顕彰している。2016年発足。今回で2度目の表彰式には、北海道から沖縄まで77人の応募があった。
 応募者は表彰式前の選考で8人に絞られた。選考委員の一人にプロの登山家である竹内洋岳さんがいて、冒頭「選考にあたり多くの時間をかけ、真剣に選考委員たちで話し合い、今回の表彰式に至った」とあいさつしていた。
 独自性、人づくり、技の継承、社会性など、JOLA独自の基準によって選ばれた8人は、それぞれユニークな活動をしている。

 森から生きる力を学ぶ「森のわらべ多治見園」の浅井智子園長。田畑に子供達を招きいれて泥だらけで遊ぶ。「O2Farm」の大津愛梨さん。沖縄でアウトドア活動と教育を実践する「ホールアース自然学校沖縄校ガジュマル自然学校」の小林政文さん。森林組合職員であり、林業に携わりながら森林の大切さを子供達に伝える中田無双さん。浜辺のゴミ拾いをしながら海で磨かれたガラスを「ビーチマネー」として取引する加盟店を作った「エコサーファー」代表、堀直也さん。都会に自然環境を見いだし、食やクラフト、アロマ、写真撮影を通して環境教育を行う「BiotopGuild」代表取締役の三森典彰さん。0歳児からアクティブシニアまで身近な自然に触れ合う機会を作っている「モモンガくらぶ」事務局長、吉元美穂さん。
 その中で大賞を受賞したのは「よみたん自然学校」代表の小倉宏樹さんだった。沖縄の豊かな自然の中で、身近な食や遊びを通じて子供達が生きる力を身につけるというフリースクールの代表だ。

 日本は、すぐに触れられて、好奇心をくすぐる発見に満ちた自然がどの地域にもある国である。それぞれの地域に、工夫しながら自然を通じて生きる力を子供達に伝えていく人がいる。今回の表彰式で、僕はそのことに感嘆した。
 僕の父も、家族を国内外の登山やキャンプによく連れて行ってくれた。11歳の僕をアフリカ最高峰のキリマンジャロに連れて行くという過激なものもあったけれど、そういう体験がいまの僕を形成したのである。

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