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生きがい追求 健康で長寿

2013年11月2日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 10月13日、文部科学省が2012年の体力・運動能力調査の結果を発表した。その結果は「70歳代の体力は過去最高」だった。また日本人の平均寿命も12年は男性が79.94歳と過去最高、女性は86.41歳でともに前年を上回り、先ほどの体力測定の結果と合わせて見ると、これまで高齢者の取り組みのなかで叫ばれてきた「健康寿命」からさらに一歩踏み込んだ「健康寿命の意義」つまり「生きがい」というのが大きな課題となるのではないか。

 祖父敬三が101歳になるまで年間110日間スキーをしていた。その間すべて無事にスキー人生を送っていたかと言うとそうでもない。72歳の時にはスキー中にスネの骨折、その後数年おきに肺水腫、重度の打撲、アキレス腱と腕の手術、白内障の手術、100歳の時の鎖骨の骨折等である。こうして見ると祖父のスキー人生は順風満帆ではなく、常に病気やケガとの戦いであった。
 その中でも特にひどいのは96歳の時にスキー場で転倒、背中を強打したケガだ。その痛みが長引くので父(雄一郎)に相談した。父は悩んだ末「下手に病院に行くとそのまま入院することになり、感染症も怖い。もし痛みが少しずつ引いているのならそのまま治してみてはどうか」とアドバイスした。
 安静にしていると痛みは少しずつだが、ひいていった。そしてシーズンの終わりごろには立山やヨーロッパスキーツアーもできるようになる。そのケガが何であったか、分かったのはその年の秋だ。病院に行ってみると背中が圧迫骨折していて、その後、治癒している形跡があることが分かった。

 「探求一筋」が祖父の座右の銘だ。後年「100歳まで長生きする秘訣は何でしょう」とよく聞かれた。すると祖父は「私自身、100歳まで生きようと思って生きていたわけではありません。しかししいて言うならやはり好きなスキーを続けて夢中になっているせいじゃないでしょうか」と答えている。
 現在、健康で長寿を全うするための医療や健康法が確立されつつある。健康長寿を全うしながら「生きがい」を追求することができたら、これからの高齢化社会はもっと豊かになるのではないかと思う。

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