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地球と宇宙の未確認生物

2011年12月17日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 ヒマラヤのメラピーク遠征中、シェルパのナワヨンデンからこんな話を聞いた。
 「僕の祖父母が小さいころ、イエティはこの辺に普通の人みたいに歩いていた」と。イエティとはいわゆる雪男、全身を毛で覆われた大きな人のような生物で、一説では熊とも猿ともいわれる未確認生物だ。そんな生き物が当たり前のようにこの辺にいたという。ナワヨンデンは1983年に日本のカモシカ同人隊と冬季エベレストに登頂した伝説的なシェルパで、地元の警察署長も務めたほどの信頼にたる人物。そんな彼からの話だったので驚いた。
 イエティ伝説は他のシェルパたちからもよく聞く。家畜を襲ったり、女性や子供をさらったりといった話や、その姿を見たものは病にかかる、不幸な事故に見舞われるなど、迷信めいたものもあり、ヒマラヤでは妖怪やもののけのように恐れられている。

 一方、実際の目撃談も多く、著名な登山家もその姿を確認している。エベレストに無酸素登頂し8000㍍峰14座を世界初制覇したラインホルト・メスナーは86年にイエティを目撃した後、遠征隊を編成して探索した。ミウラドルフィンズの元メンバーであり、カメラマンの尾崎啓一さんも71年に遠方にいるイエティらしき影の撮影に成功している。
 つい最近も日本の新聞紙面に「ロシアに雪男がいる確率95%」という記事が掲載された。これはヒマラヤではなく、ロシア・ケメロボ州のゴールナヤ洞窟付近で地元の猟師たちが2009年に相次いで体長2㍍を超える毛におおわれた人間らしき生物を目撃したことがきっかけで、今年10月6日、米国、カナダ、スウェーデンなど7カ国の研究者たちが集まり3日間の大捜索の末、出された結論だ。
 米国のビッグフット、ロシアの雪男、ヒマラヤのイエティ、カナダのサスクワッチなど呼び方は様々だが、目撃談は世界中の至る所にある。面白いのは世界の名だたる冒険家、登山家、科学者がその存在について真剣に議論を交わしているということだ。

 ヒマラヤから戻ると、米航空宇宙局(NASA)が太陽系外で初めてハビタブルゾーン(生命生存可能領域)にある地球型惑星「ケプラー22b」を600光年先に発見したというニュースが流れた。身近な地球上と、はるかな宇宙に存在するかもしれない未確認生物にワクワクするのは僕だけではないだろう。

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