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次代担う選手育てる

2019年3月16日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 最近、僕に関わりのある2つのプロジェクトに大きな進展があった。
 一つは一般社団法人の健康ビジネス協議会とともに進めてきた「NWSプロジェクト」という事業で、「次世代のアスリートを新潟県から排出し続けるために」というスローガンとともに5年前に発足した。きっかけとなったのは平野英功さん。ソチと平昌の両冬季五輪のスノーボード男子ハーフパイプで銀メダルを獲得した平野歩夢選手の父上である。2014年のソチ大会直前、歩夢選手をサポートする体制作りについて、英功さんが僕に相談を持ちかけたのが始まりだ。

 強い選手が活躍し続けるためには、都道府県などの地方自治体、地元企業、そして学校等の包括的な協力が必要だ。僕はそう説明して、それぞれの団体が連携するスキームを提案した。健康ビジネス協議会はその実現に努めてきた。やがて歩夢選手は国内外のスポンサーを獲得し、通信制の高校を出て日本大学に進学、18年の平昌大会で2つのメダルを手にした。今はスケートボードで来年の東京五輪を目指している。

 NWSプロジェクトの対象は歩夢選手だけではない。先日、新たに10歳から19歳までの男女8人のスケートボード選手の認定式が新潟県村上市で行われた。同市ではインドアスケートボードパーク「村上市スケートパーク」の建設が進む。NWSで認定された選手たちはここでの合宿費用を援助され、トップ選手1人は海外遠征の資金援助も受ける。NWSは次世代の国際的選手育成に向けて大きく踏み出した。

 もう一つは、僕が理事長を務めているNPO法人ナスターレース協会のプロジェクト。アルペンスキーヤー育成を目的とする同協会の主催で、ユースの世界大会が来年2月に苗場スキー場で開かれることになったのである。これまで同協会は東北、関東、北海道の大会を開催し、そこで14歳以下、16歳以下の男女10人の選手を選抜してカナダのウィスラーで行われる国際大会に派遣してきた。過去の派遣団にはその後、五輪代表になった選手もいる。

 来年、ウィスラーと同様の国際大会を苗場で開くことで、日本アルペン会の次代を担うより多くの選手たちが世界の同世代のライバルたちと触れ合う機会を得る。ナスターレースやNWSの進展は、それぞれのプロジェクトに関わってきた人たちの尽力によるもの。僕も子供たちの夢に関われることを光栄に思う。

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