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スキーで老化防ぐ

2013年3月16日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 「北海道アンチエイジングクラブ」という学会が、北海道ニセコグラン・ヒラフスキー場で行われた。毎回スキー場で開かれ、アンチエイジングの最新事情に触れながら参加者がスキーをしっかりとできる時間が設けられている。
 医学的な学会がスキー場で行われるのは珍しい。この学会は「運動、食事、ゴキゲン」がアンチエイジングに密接に関係していると提唱する慶応大学医学部眼科学教室教授・坪田一男先生の意向が反映されている。僕もスキーがゴキゲンと運動に含まれている点に大いに共感する。

 最初に坪田教授が世界中の学会や論文で得た最新のアンチエイジングの流れや知見をピックアップして紹介する。今回特にテーマとして力を入れていたのが「サーカディアンリズム」である。
 サーカディアンリズムは「概日リズム」の意味で「寝る、起きる、食事をする」といった1日の生物学的なリズムをつかさどる機構のことをいう。昼夜問わず活動できる現代的生活がサーカディアンリズムを狂わせ睡眠障害、鬱、肥満、生活習慣病等の様々な原因となりうると考えられている。

 そのため学会ではサーカディアンリズムの専門家である大阪大学大学院歯学研究科・口腔時間生物学研究室准教授、中村渉先生を招いて講義が行われた。
 中村准教授によると、視交叉(こうさ)上核といわれる脳の中央にある部位が体内時計の機能を担う。最近の研究では、サーカディアンリズムは24時間7分であるらしい。体内時計と実際の1日との微妙なずれは、目から受ける刺激によって調整が行われる。その中で日の光に多く含まれるブルーライト(青色の光)の波長が大きく影響するという。
 ブルーライトはパソコン、携帯電話のバックライトに使用されている発光ダイオード(LED)にも多く含まれていて、これらが特に夜に多く使用されると体内時計を狂わせ、体は本来休むべき夜を活動的な昼間と勘違いさせてしまう。反対に冬季、日照時間が少なく日中にブルーライトを浴びないことも、サーカディアンリズムの乱れる要因となるといわれる。 

 スキーは冬季の日中に日の光を浴びる絶好の機会を作ってくれる。「スキーはアンチエイジングにとても理にかなったスポーツである!」と学会中にリフトに乗りながら思った。

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