見出し画像

いつかラジオ体操のように


話し手:佐藤美智子 さん (福祉士、ふまねっとインストラクター3級養成講習講師)

聞き手:吉川美羽 (北星学園 心理・応用コミュニケーション学科)


1, ふまねっとを始めたきっかけ
私は以前デイサービスに勤めていて、でそこのプログラムの1つとしてふまねっと運動を取り入れようということになりまして、それで当時、北18条にふまねっとハウスというところがあったのですが、そこに体験に行ったのが一番初めのきっかけです。
 デイサービスでは、色んなレクリエーションをやる時間が毎日あるんですけれども、あの~なかなかなんて言うかね(笑)もう、毎日のことでそんなにお金も掛けられないので、こう、例えばペットボトルを新聞紙を丸めたものを投げて倒す!とか、トランプだったり、カルタだったりこう、わりとワンパターンなゲームとかそういうレクリエーションが多くて…。でも、利用者さんって、毎日来る方とか週に何回も通う方とか、とにかく日々をそこで、ほぼ毎日過ごしているなかで「せっかくその人の時間を使うんだったら何かこうもっと有効なことができないか」「機能訓練の専門職でなくても利用者さんの機能を向上させることがレクリエーションのなかで楽しくできたらイイね!」っていうので、それでふまねっと運動をたまたま新聞で知って、ふまねっと運動を取り入れてみようということになりました。
 私はその時資格を取って、その後はデイサービスで。そこから~週に何回やったんだろうな?、週に…3回くらいはやってたかな?、「笑いヨガ」っていうプログラムとふまねっと運動をね、主にレクリエーションとしてね、実際に利用者さんにやってました。
 ふまねっと運動は、喜んでやっている人もいたし、嫌々やっている人もいた(笑)。そうそう!職員さんが、やっぱり若い職員さんだと利用者さんとこう、コミュニケーションがうまくとれない人とかもいるんですよね。いや、若くなくても、職員さんもふまねっとというプログラムがあることによって、利用者さんとコミュニケーションを取る1つのツールにもなって良かったです。
あと、利用者さん自身も意欲のある方もいらっしゃって。パーキンソンもあって、ほぼ車椅子で過ごして、立って歩くときも両方に人がいて介助しないと歩けないような人もふまねっと運動をやり始めるとすごい「やりたい!やりたい!」ってね車椅子から自分で立ち上がるんですよ。そういう方ってなかなか他のレクリエーションで他の人とほら、一緒にやるのってやっぱ難しいんですよね。でも、ふまねっと運動ってそういう方も一緒にできるプログラムだったので、みんなでできて、楽しくってそういう方もやる気のある人がこう、立って仲間に入ってできるというので凄くいいプログラムだな~と思いました。
 

2,地域と医療のふまねっと
ふまねっとには、地域の高齢者の方の健康づくりをする人材を育てるサポーターさんっていう資格ともう一つ、医療福祉関係の人が自分たちの施設とか病院で教えるインストラクターという資格の2つあって、私は両方の人材養成をしています。
 地域の方は、高齢者の方が力になって、地域とか社会の資源になって活動しているのがサポーターの方かなって思います。インストラクターの方は専門職の方が自分の対象者の方の機能向上とか、交流ってのも精神の面に凄くいいので、看護師さんとか医療施設の方が自分の利用者さんとか患者さんの機能の向上を目的としてやっているというのが違いですね。

3,感動と成長
私まず、ふまねっとの活動をしていて感動したことがあって、自分の介護の仕事を仕事としてやって、自分がふまねっとをやるのは仕事だからやってたんですけど、皆さん介護保険料、ほら介護保険料ってすごくお金かかるじゃないですか。国からもお金がでて本人も自己負担をして凄くたくさんのお金がその1時間でかかるんですよ。それで、介護施設の職員がふまねっとを利用者さんにやっているんですよ。はじめて、地域の教室に行ったときに地域のボランティアのサポーターさんがそれと同等かそれ以上に凄く交流を楽しんでいて、参加者の方が生き生きとするような教室をやっていたんですよ。それを見てね、びっくりして、そのサポーターさんももう75歳とかでしょ?じゃ、自分がケアしていた人と同じ年齢の人がケアされる側じゃなくてする側で、しかもボランティアでそれをやってるという姿。そして、教室のクオリティの高さ。「ボランティアの高齢者がこんなことできるんだ!高齢者の人ってこんなパワーあるんだ!」、なんか情けない自分たちが(笑)。高齢者の方の能力というのに凄く感動して、見る目が変わりましたね。「できるんだ!ボランティアでできるんだ!高齢者ができるんだ!もっとこんな力あるのにケアされてる側って風に見てちゃいけないんだ!」
実際にボランティアさんと活動して思ったのは、いつも教えてもらってばっかり、凄く力がるんだな。知識、力、あと気力が凄く、高齢者を見る目とか交流とかが変わりましたね~、一番感動しました。

日々成長してるんですよ、私介護の資格を取るときに「人間っていうのはね、最期まで成長する生き物だからいくら麻痺して動けなくなっても、言葉が発せられなくなっても、認知ができなくても人は成長し続けるものだから。意志はあるから。」ってそういうことも勉強で学んで話では聞いていたけど「えぇーー!?」と思ったの。
デイサービスとか、そういうとこ勤めていてもそういう成長していく姿って見ることができなくて、現状維持、維持できなくなってだんだん落ちてって、機能が落ちていって施設に入ってそこで住むようになる…こうなる前にどうにかしなきゃいけないんだと思って介護予防の仕事をしたいと思ったんですよね。こうなる前にって参加されてるサポーターさんは意欲もあって、そうするといくつになっても意欲は上がっていくし、成長されるんですよね。その姿がね、凄く感動しますね。何か見る目が変わった。ふまねっとに入って高齢者のそういった成長されていく姿、持っている力の凄さ、それはすごくね意識が変わりました。
 私自身、ずっと専業主婦だったんです。今まで色々あってちゃんと社会人としてデビューしたのがここで、この3,4年で。自分はそんな能力のない人間なので、向き不向きみたいな感じで、外で働かないほうがいいのかなってずっと思っていたんですよね。内向的といいますか、人前でそんな大勢の人の前で話はできませんでした。でもここに来て何だろ、人生のすべてがこの地域の活動、ふまねっとの活動をやるときって役にたつんだなーと思ってそれは凄く実感しています。最初は「(30人の教室で指導とか)無理ですー!」ってなってたんですけど、今はちゃんと人の前で必要な事を伝えられてると思うんですけど、ちゃんとやらなきゃいけないことを私もできるように成長しました。
 実は今でも人前で意見とか言いたくありません。でもやってくにあたって北澤先生が「失敗しても大丈夫、気にしない気にしない。失敗してもいいよ」ってのでいろいろやらせてもらううちに「あ、失敗してもいいんだな」ってことで少しずつ自分のできることが増えてきたなって感じました。

4,失敗しても大丈夫!
 失敗しても大丈夫って考えは、ふまねっとをはじめてから凄くそれが当たり前の考えになったかな。だから、サポーターさん、新しくふまねっとのボランティアになるサポーターさんになる人とかで講習会するときに一番伝えたいことは「失敗しても良いんだよ、間違っても良いんだよ」っていうことですね。全然違っても間違っても誰も困らないからって。
 失敗することよりまず、安全なこと。一番大事なことは安全なこと、安全を守ること。次にみんな仲良くやること。順番が大切ですね。安全なこと仲良くやること。その後に、もしできたら歩行がよくなる等の効果がでてきたらいいねって、まず安全、参加者も自分自身も楽しくってみんながとにかくこの場に来たいって楽しくなることっていう風に伝えたいなって思ってやっております。みんなで仲良くが大事です。だって、まず楽しくなかったらやらないし来ないじゃないですか。やらなくて、来なくて、網の上歩かなかったらゼロでしょ?でも楽しくて、ここに来たくて、来て網の上を少しでも歩けばゼロよりちょっと良いじゃないですか。そっからその先に継続していく内に効果がでてくれればいいかなって。
体験会とか老人会とかに行ってやるんですけど、最初はちょっとね虚弱な方で杖をついている人も普段のそういったものは難しいので見学なんですよ。でもふまねっとは、杖をついて歩けるから、最初は見学だった方もみんながやってるのをみて「これならできるかな」って普段はそういうの参加しないんだけどふまねっとは参加したって虚弱な方は結構見ます。間違っても失敗しても良いでしょ?だから参加しようと思うんでしょうね。他の運動と違ういいところだなって思います。年齢関係なく失敗すると面白いでしょ、そこから交流に繋がっていく。失敗して笑っちゃって交流に繋がる、輪が広がる。高齢者の方もまさにそうなってるんですよね。

5,ふまねっとの今後
 今、ボランティアの方が小学校とか町内会の子たちとやると凄く良いコミュニケーションになるっておっしゃってるんです。なので、ふまねっともね、高齢者だけじゃなくって小学校とかいろんなところでやっていければいいねって。
 こないだ連絡が来ていた方で、特別支援学級にいる中学生のお子さんが資格をとって他の学級の子たちに教える、今度学校でふまねっとをみんなに教えるのに学校の先生が応援してくれてるって言ってる、そういうお話も聞きましたね。
 他にも、高齢者のふまねっと教室が障害者施設の人と一緒にやってコミュニケーションをとってやっています。凄い盛り上がってますね。障害者の方もやるだけでなくて自分も指導者になれる可能性があって、実際にいらっしゃいますし。障害者の方も指導するって役割があるのって凄いですよね。
 そうやって、いつかラジオ体操をみんな当たり前にやるようにふまねっと運動もできたらいいのかなって、これは私の個人的な(笑)それくらいみんな知ってる運動になれば良いなって!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?