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ふまねっと運動で心地よい疲労感

 6 月 10 日朝 5 時。太陽のヒカリがカーテンの隙間から差し込みまぶしさを感じて起きる。 体を起こし、黙って座る。3 分ほど経ってから行動を始めた。

今日は、オンラインで行なわ れる『ふまねっと運動』に参加する。そのために必要な“紙ふまねっと”を新聞紙で作る。使 用するのは、課題のために購入し読んでは置きっぱなしにしていた新聞だ。

パソコンを立ち 上げ、事前に紹介されていた YouTube の動画を再生させる。1 度目はじっくり見てみるこ とにした。


 赤紫色の生地に白の線で柔らかな車のイラストが描かれた T シャツを着た⻑髪の女性が 映し出された。女性は、準備するものを紹介する。

セロハンテープ、ホチキス、新聞紙 2 日 分。

次に、新聞紙の折り方を説明し始めた。新聞を広げ上下を合わせるように折りたたむ。 4 回折るとセロハンテープで広がらないよう止める。完成したものを一度見せるように紹介 するとテーブルの奥に置き、横に置かれていた 2 日分の新聞紙をテーブルの下に持って行 き画面から消えたと思ったら次に登場したときには先ほど作った細⻑い新聞紙と同じもの の束を手に持っていた。まるで某ローカル番組の料理コーナーのようだと思っていると女 性の説明は次々進んでいてわからなくなったので少し巻き戻した。

次はマスを作るために 先ほど出してきた細⻑い新聞紙を組み立てていく。始めに四角を作る。四つ角をホチキスで 留める。次に四角の中に十字を作る。新聞紙が重なっている部分をホチキスで留める。最終 的に感じの田んぼの田のような形ができあがった。そしてまたも下から完成したもう片方 を取り出す。一辺を重ねホチキスで留める。そして女性が両手を広げても少しゆがむくらい 大きな紙ふまねっとが完成した。


 全て視聴し終わったらもう一度はじめから再生する。そして、置きっぱなしになっていた 新聞紙を近くに寄せホチキス、セロハンテープはなかったのでピンク色のマスキングテー プを用意した。女性に習って新聞を折っていく。早朝に一人、太陽のヒカリが差し込む部屋 で黙々と作業を進める。

スズメの鳴き声と動画から流れてくる女性の声だけが部屋を賑わ せる。

細⻑く折られた新聞紙 12 コを用意し部屋の少し開けたところに持って行く頃には動 画が変わっていた。形を組み立てる時の BGM はスズメの囀りとカラスの恐怖を煽るよう な騒がしい鳴き声ともうひとつ、軽快なリズムを刻む J-POP だ。思わず歌詞を口ずさむ。ホチキスを留 める手も軽快になる。

しかし、十字の真ん中を留めるときはとても堅くてかなり力がいる。 パチンッパチンッと先より少し重たい音が手元から聞こえた。

全ての箇所をホチキスで留 めたあと立ち上がる。完成した紙ふまねっとを見て少しの満足感を得て、スマホを取り出し カメラアプリを開いて一枚写真を撮る。その写真を母に送ってみるが反応はなかった。それ を確認し、スマホをテーブルに置く。参加予定のオンライン不ふまねっと運動まで時間が 3 時間ほど時間があることに気づき、シャワーを浴びてから朝食を作り始めた。


 朝 8 時 50 分、メイクをし動きやすい服装に着替えた後もう一度パソコンを立ち上げ zoom を開く。予めふまねっとから送られていたミィーティング ID とパスワードを入力、開くボ タンを押すだけの体勢を整えた。9 時ちょうど開くボタンを押しいよいよオンラインふまね っと運動が始まる。


 まずは司会の人が挨拶を始めた。そこから順々にカメラをオンにしている参加者だけが 挨拶をしていく。

参加者は全員カメラをオンにするものだと思っていたのでカメラを付け る前に始まってしまったことに戶惑う。だが他の参加者を見てみるとカメラをオンにして いる参加者は 5 組ほどで他は住んでいる地域にニックネームだけが表示されている黑い画 面のままだった。私だけではないと知り安堵する。


他の参加者を見ているとパソコンから元気な声が聞こえた。夫婦でお揃いのオレンジ色 の明るい服を着た 2 人がカメラに向かって挨拶をする。挨拶を終えると拍手が起こる。 また、次の女性の時も挨拶をすると拍手が起こる。元気な女性参加者は挨拶をすると大きく 両手を振った。


 挨拶をし終えると司会者の説明が入り 1 本のビデオが流れた。赤紫の生地に白でふまね っとと書かれた T シャツを着た女性が 2 人画面に映し出される。1 人は立ちもう 1 人は椅 子に座っている。そして 8 カウントで進められる準備運動が開始された。足踏みの速度は ゆっくりと普通に2つに別れていた。準備運動を終えると私の体は少しだるく疲れていた。


 録画されたビデオが止まり元の司会者の顔が映りゆったりとした曲がかかった。司会者 は紙ふまねっとの横へ行き大きな身振り手振りでマス目の歩き方を説明。実際に見本とし てやってみてくれた。

1 回目が始まる前に司会者から運動の目標の発表が行われた。「一回 目は網を踏まない」簡単だと軽い気持ちでやってみた。無理だった。ゆったりとした曲に合 わせて膝でリズムを取りながら腿を上げてマス目を移動したが移動の度に網を踏みクシャ と悲しく情けない音が足元から聞こえた。

1 回目が終わり司会者が評価する。どれも人を褒 めるものばかりでネガティブなものは一切ない。評価が終わると違う曲が流れ出した。


 そして、1 回目と同じく見本と目標の発表が行われた。「2回目は手拍子をつけるように」 足と手を同時に動かすことがかなり難しく感じた。必死に運動を続ける。そして、評価が始 まった。司会者が参加者に目標の動きができたか問いかける。 挨拶で元気に両手を振って いた女性が出来なかったと呟くと司会者はそれをあたたかく否定し「出来ていたでも次頑 張ろう」とフォローと次挑戦することへの応援をした。


 評価が終わり最後の運動の見本と目標が発表された。「3 回目は笑顔で」だんだん室温が 上がっていく部屋の中で少し難しい足踏みをしながら歪な笑顔を作る。最後の評価が始ま った。

先のステップでは出来なかった女性が今度はできたと喜ぶと司会者も拍手しながら 褒めた。他の参加者も拍手しカメラの向こう側で笑顔になる。元気な女性がカメラに向かっ てハイタッチをした。するとほかの参加者や司会者もカメラに向かって両手を広げた。それ を見た私もハイタッチをするように両手を広げる。

ふまねっと運動の最後は感想を言い合 うことだった。カメラをオンにしている参加者が 1 人ずつ感想を言う。誰かが話している 時は他の参加者は相槌を打ち、偶に会話を挟んだ。感想を言い終えると拍手。これが数回続 き、最後に司会者が参加者へのメッセージとまた参加して欲しいという呼び掛けをし zoom が閉じた。


 今日のオンラインふまねっと運動が体に心地よい疲れを残し終了した。


(吉川美羽)

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