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ロドリゴの売却が理にかなっている理由

結論から述べると、ロドリゴの売却が理にかなっている理由は

『余った選手を手放して、大金が手に入るから』

誤解のないようにまず最初に言わなければならないことは、個人的にロドリゴのことが嫌いなわけでも追い出したいわけでもない。彼がマドリーにやってきてからほとんどの試合を見ている。むしろ大好きなほうだ。

ただ今回話したいことはそういうことではない。

周知の通り、先日レアル・マドリードにキリアン・エンバペが加わった。マドリディスタにとっては待望の瞬間だったが、ロドリゴにとってこれは運命の変える出来事かもしれない。

これまでマドリーでは、左サイドでポジションが被るヴィニシウスとロドリゴをどう共存させるかに試行錯誤してきた。5年くらい経つだろうか、未だに最適解は見当たらない。

23年までのベンゼマ期

ベンゼマがいた頃は右ウイングで起用されていた。これは消去法だったと思っている。ヴィニシウス、ベンゼマでポジションが埋まっており、右サイドに追いやられた。賢く、器用なので右サイドでもそれなりのパフォーマンスは見せたがポテンシャルをフルに活かせてはいなかった。当時の競争相手は勢いのないアセンシオで、良い刺激にはならなかった。


ベリンガムが加入した今季

今季は素晴らしいシーズンだったが、ヴィニシウス、ベリンガム、ロドリゴの並びは最後までハマっていなかったように思える。4-4-2や4-3-3など毎週システムや並びが変わりロドリゴは一番振り回されてしまった。そして今年も競争相手が不在で立場は安泰だった。

終盤の試合ではロドリゴとヴィニシウスの両方を左サイドに並べたシステムが一時的に機能していたが、おそらく来期からこれは使えない。ロドリゴ、ヴィニシウス、エンバペのジェットストリームアタックは現実的では無い。


このようにロドリゴは誤魔化されてきた。本職でないポジションで一定の数字を残し貢献している事は評価されるべきだが、

来季以降はヴィニシウスとエンバペの共存の道を探るだろう。ロドリゴの問題は棚上げだ。

24年以降のエンバペ期


asによる来季の予想

さて、ロドリゴを最大化する方法はあるだろうか。左サイドは埋まっている。右サイドはこれまでと違い、ギラギラとした強力な競争相手がいる。ブラヒム、ギュレル、エンドリック。ロドリゴと比べればまだだいぶ劣るが、『右サイドのロドリゴ』と比べれば大きな差はないだろう。

ロドリゴの10番

解決策のひとつに10番での起用を提唱するものも見かけるが、個人的には非常に疑問だ。エンバペとヴィニシウスがいて真ん中にロドリゴが居るシステムでも得意なプレーエリアが被る問題は解決しない。盤面上は住み分けられているように見えるが実際にはどうだろうか。9番の位置に純粋な9番の選手がいれば問題ないが、9番の位置にいるのはエンバペだ。


物議を醸した発言

そして退団説が浮上したキッカケになったのはインタビューでの発言だ。

CL決勝の前の月曜日に、バルデべバスで行われたメディアデーで、各選手はメディアに話す機会があった。ロドリゴはDAZNとスペインのテレビ番組に出演し、見解を述べた。

「ヨーロッパ中が君を欲しがっているが、君はずっとマドリーにいたいの?」という質問に

「はい、まあ、何が起こるかはわからない。契約はありますが、ここで過ごした数年間は僕にとって喜びだった」と返答

「ここで過ごした数年間は僕にとって喜びだった」と過去形を使って表現したこの言葉は、2018年のチャンピオンズリーグ優勝後、その夏にユベントスへ移籍する前に「レアル・マドリーにいられてとてもよかった」と言ったクリスティアーノ・ロナウドのコメントを思い起こさせるものだった。

ロドリゴは後に時制を間違えただけと説明している。

加えてブラジルのテレビ局とのインタビューでも退団を匂わせた。

ずっとマドリーでプレーするつもりであるのかと質問され、
状況次第だ。私はチームに貢献し、自分が重要だと感じる限りここにいたい。もし自分が重要でないと感じたら、ほかの場所を探す時だ」と語った。

現状、本人は100%マドリーを望みクラブも放出を考えていないだろう。ただ一連の発言は将来についての憶測を刺激し、クラブを牽制することとなった。

クラブは、CL決勝直前の大事に時期に水を差すようなロドリゴの発言を好ましく思っていなかった。

エンバペが来たことでロドリゴは代替の利く存在になってしまった感がある。今まで追いやられていた右サイドならブラヒム、ギュレルといった本職がいる。ギュレルに関しても今シーズンのBチーム要員のような扱いは望まない。左サイド、中央でもファーストチョイスではない。もし噂されているように、25年にドイツ人を獲得するなら尚のこと。

『余ってしまったのだろうか?』

売却するメリット

売却したらどうだろうか。1億ユーロには届かなくとも大金が確保できることは間違いない。レニー・ヨロとデイヴィスの移籍金の両方をほとんど置き換えることが出来るだろう。人員過多な前線の選手を整理してディフェンスラインの世代交代を進めることが出来る。競争相手のブラヒムとギュレルを両方売ってもロドリゴ1人分に及ばない。ロドリゴの売却に一理あるのではないだろうか。

何が起こるかわからない。ベイルやハメスが加入した時にはそれぞれクラブを追われた選手がいた。クロースのような美しい別れはごく稀だ。

勝負の年

ロドリゴが進化し、新しい居場所を開拓する可能性も十分に有り得る。監督はカルロ・アンチェロッティだ。マネジメントに対して彼より秀でている人は居ない。ロドリゴが崖を転がり落ちるように居場所を失うとは思えない。ロドリゴは抵抗しカルロは彼の抵抗に手助けするはずだ。今季、何度かスランプに陥った時もカルロは会見で常に庇い続けた。不貞腐れ、不良債権にはならないと断言出来る。

その結果、以降10年マドリーで活躍し続けてくれるとなれば、ファンにとってこの上なく喜ばしいことだ。

彼の強みは大一番での勝負強さだ。そしてマドリディスモを継承し体現する選手のひとりだ。故に愛されている。

ロドリゴの先の見えない心との戦いを、来季は注目して見てみよう。



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