青の緞帳が下りるまで #20 6 MIU 2023年4月17日 05:30 ←(前回)「青の緞帳が下りるまで #19」(第四章 偽アナスタシア王女 2) 展示品五 王女賛歌「これが祖母の残した証言です」 イーラはマエストロに祖母の手記を見せる。* * * 私に王女のことを教えてくれたのは、Aです。 今、どこで何をしているのかは知りません。私が王女を演じないといけないときに、王女と会ったことがあるAの話は、とても参考になりました。 アルトランディア人が憎んでいる王女を、Aは一度も悪く言ったことがなかった。むしろ、命の恩人であり、もっともアルトランディア人らしいと言ったのです。 Aはユヴェリルブルグでヤローキンを待ちながら、アナスタシア王女の無事を祈っていました。 だからこそ、Aは歌っていたのかもしれません。 国王讃歌には二番があったのです。その歌詞は、王女讃歌でした。この世に 幸いあれこの世に 幸いあれ王女殿下に幸いあれ心からの願いを聞き届けたまえわれらの愛しいアルトランディアの王女殿下に祝福を王女よ、国の至宝を守りたまえ青きアルトランディアの民を愛したまえあまねく大地に輝かんばかりの祝福を守りたまえ その歌声が響く限り Y劇場でAと何を話したのかは、きっと誰にも話さないでしょう。話したところで信じてくれる人などいるはずがないのです。孫のイーラがいつか書きとめて、公表してくれるかもしれませんが、それでも多くの人は私の言葉を信じないでしょう。 それほどありえないことが、私の身に起きていたのです。→(次回)「青の緞帳が下りるまで #21」(第五章 ヴィーカの記憶 1) ダウンロード copy #小説 6 ありがとうございます。いただいたサポートは活動費と猫たちの幸せのために使わせていただきます。♥、コメントいただけると励みになります🐱 サポート