オノマトペピアノ (オノマトペピアノ ・ 毎週ショートショートnote)
先生に叩かれた手の甲が痛む。溢れた涙も拭かせて貰えず、冷たく『もう一回』そう言われる。
この教室に通い始めてから、ピアノが楽しくない。前の教室の先生は、にこにこして、私のピアノを聞いてくれたのに。
睨め付ける視線には逆らえず、私は鍵盤に手を乗せる。水が跳ねるみたいな楽しい曲。けれど練習をするほど怒られて、苦しいだけの曲。
バンと大きな音がして、ドアが開いた。母だ。
「もうここに通うのは辞めます」
そう母が言った。
「何を言っているの!才能があるんですよ!」
先生が金切り声で叫ぶ。
「歌うようなピアノを弾く子だったんです。今の曲なら水がぱしゃんと跳ねる音が、さらさら水が流れる音がしたんです。キラキラ光る時も、風にふわりと揺れる時もあった。なのに今はもう、鍵盤を叩く音しかしない」
ぽたりぽたりと母の頬から涙が落ちる。
私はもう一度、水の戯れを弾く。前みたいに、歌うように。
母が笑ったので、私はもう充分だ。
こちらに参加させてもらっています。
先週参加できなかったので……
のだめカンタービレファンです!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?