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三つ子戦記【出産】

なんだか最近バタバタしていてnoteに書くのが疎かになってました。
記憶が残っているうちに何とか書こうと思います。

三つ子の出産になるとまず人手がやたら必要になる。

赤ちゃん1人受け持つ先生や看護士さんが3〜4人、私の帝王切開をしてくれる先生が3人、麻酔科医1人、助手の人数名。

手術室にはざっと20人くらいの医療関係者が揃っていた。

手術室に着くとみんな笑顔で迎えてくれて

「おめでとうございます!」

と拍手してくれた。

手術室でそんな風に帝王切開が始まると思っていなかった私は大分困惑したが、よく考えれば予定日まで何事もなく無事にこれたことは、これもまた奇跡なのだ。

歓迎ムードも束の間、すぐに手術代の上に上がらされ、背中を丸めて下半身麻酔を入れ始めた。

最初に表面上の麻酔がチクっと入りその後に何か奥の方にグーっと押されて麻酔が入る感覚があった。お腹が大きくなった状態で背中を丸めるのがかなりキツかったが、看護士さんたちは容赦なくホールドしてくれた。

麻酔を入れたら仰向けになり下半身はすぐカーテンで視界から消えた。
先生たちが急いで手術の準備をしている。
この時はもう私もドキドキして脳みそのドーパミンが大量放出させれいた。

麻酔をしているとはいえ痛くないだけで何か触られている感覚はある。
前日に麻酔科医から帝王切開の説明を受けたときに、「産みの苦しみは必ずあるから覚悟して下さい」と言われていた。

確かに苦しい。
お腹を開かれて中をもじょもじょと弄られるのは気持ち悪かった。

しかし、子供たちが無事に産まれることに集中していて、そんな事はどうでもよくなってしまうのだから母は強い生き物である。

助産師さんも優しく、手を握りましょうか?大丈夫?と声をかけて勇気づけてくれた。

帝王切開が開始されてから数分で先生から

「1人目出るよー!」

と言われた瞬間、ポンっとお腹から抜けた感じがあった。産まれた!と思った。

おぎゃぁ、おぎゃぁ

と小さい鳴き声が聞こえた。

泣いてくれた!よかった!

その声を聞いて涙が出た。

32週という早さでの出産は胎児にとってはまだ肺が未成熟で自力で呼吸ができない可能性があった。

それでも産声が聞けた。奇跡だった。

あまりギャン泣きするとお腹に力が入りそうだったので、静かに涙を垂らしている私をよそに先生が次々と「はい!2人目出るよー!」と取り出してくれていた。

2人目もおぎゃぁ!と泣いてくれた。しかも目をしっかり開けて泣いていた。ちょっと怖かった。

3人目も産声が聞けて無事に3人の出産ができた。

1分差で3人兄弟がこの世に爆誕した。
取り出された順番で第一子、ニ子、三子と母子手帳に記載される。

3人がNICUに運ばれて行き、残る私はあとお腹を閉じるだけだ。

しかし、これが1番苦しかった。
もう出産が終わってしまったので頑張る気力が失われ、お腹を押されたり縫われたりする気持ち悪さにひたすら耐える30分間。

出産が終わったら麻酔が追加されて眠くなるかもと聞いていたのだが、意識はしっかりはっきりしていた。

先生に麻酔って追加されてますか?と聞くと
入ってるんだけどね〜眠くなりませんか?とのこと。

うそでしょー。超気持ち悪いんですけどぉ。えーん。と心の中で泣きながらひたすら耐えた。

何とか30分耐え抜いたころには大分ぐったりしていた。

後から母子手帳で確認した事だが、出血量は2500ml。輸血なし。胎盤2つに胎児3人。私の身体から出て行ったのだ。そりゃぐったりするさ。

病室に戻ると両家両親と夫が待っていてくれた。

夫はこの時、自分の胸の手術もしていて退院して1ヶ月くらいだったので、夫婦揃ってボロボロだった。

お疲れ様とみんなから声をかけてもらい、その後は後陣痛に苦しむ夜を迎えた。

麻酔はまだ背中から入った状態だったがそんなもの全く効果なく、生理痛の100倍くらい痛い腹痛が襲った。

そりゃあれだけ大きくなった子宮が拳大の大きさに戻ろうとするんだから痛いはずだ。

何もしなくても痛いのに看護師さんが30分おきくらいに子宮の戻りを確認したり、よくするためのマッサージをしにくる。
これが拷問のように痛い。夜中だろうが関係なく続くその作業に朝になるころには怒りさえ覚え始めた。

医師の診察が朝にあり、もうマッサージはしなくていいと聞いた時は本当にほっとした。
トラウマになる程、痛かった。

出産して次の日には歩行しなくてはいけない。歩かないと子宮の戻りが悪くなるのだそうで。

でもまったく歩ける気がしない。まずベットから起き上がる事もできない。

でも歩かなくては許してもらえず、10分くらいかけてベットから起き上がり床に足をつき点滴棒にしがみつきながらヨボヨボと数メートル歩いた。死ぬかと思った。

普通は帝王切開でもここまでヨボヨボにならないそうだが、3ヶ月間の入院生活は私の体力と筋力をガッツリ奪っていた。

産後1日目は何とか歩行をクリアして終えることができた。

こんな状態で私は退院できるのだろうかと不安になった。

また長くなったので続きは次回に書こうと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました😊


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