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映画ノート

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#フランス映画

映画ノート⑤ 『太陽がいっぱい』~ 支配階級から下層民に与えられた「寓話」

アラン・ドロンが最も輝いていたのが、名匠ルネ・クレマンが監督したこの作品。 地中海の青い海、青い空、そして、アラン・ドロンの青い瞳。      大富豪の息子フィリップ(モーリス・ロネ)を いつも羨望の眼差しで上目遣いに見つめる一文無しのリプリー(ドロン)の暗い野望を秘めた目力のすごさ。 後から読んだパトリシア・ハイスミスの原作ラストは、映画とは真逆で唖然としました。 原作のラストを改変し、逮捕のシーンまで見せずに、イスキア島の明るい夏の陽光のもとでリプリーの暗い末路を暗

映画ノート④ アートアニメ映画『ファンタスティック・プラネット 』(1973)

小さな人類オム族が巨大なドラーグ族にペットとして飼われている世界を描いたルネ・ラルー監督のSFファンタジー・アートアニメ。 昔、 一日だけの特別上映会があり、事前情報なしで観て、その奇想天外でシュールな世界にびっくり仰天した作品。 逃げ出したオム族の母子がドラーグ族の子どもの巨大な青い手で弄ばれる冒頭場面のシチュエーションは、『ミステリーゾーン』の傑作エピソード「連れて来たのは誰?」にちょっと似ています。 宮崎駿は「ヒエロニムス・ボスの絵のようだ。」と言ったそうですが、