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クリスマスはどこにいても

クリスマス、と聞いて何を思い浮かべるだろうか。
サンタクロース、イルミネーション、クリスマスツリー。
きっと、人によって想起されるものは様々だろう。

私がクリスマスと聞いて思い浮かべるイメージは、ペンタクルの5というタロットカードに近い。

世界で最もメジャーなタロットカードのひとつであるライダー版タロットでは、明るい光が漏れる教会のステンドグラスの前を、怪我を負ったり、険しい顔をした人物たちが歩く様子が描かれている。
冷たい風が、私の心にも吹き付けてくるような、物悲しい光景だ。

私にはこの絵札の景色が、どうにもクリスマスの夜の一場面に見えるのである。

教会の中では、暖かい服を着た子どもたちが讃美歌を歌っているかもしれない。
そんな幸せを内包した光を尻目に、彼らは雪が降りしきる暗闇を、黙々と裸足で進んでいく。

だけど、どんな境遇を生きていても、クリスマスは平等に訪れる。

この特別な夜は、そんな当たり前のことを、改めて強く意識する。

そんな私がクリスマスシーズンになるといつも聴きたくなるのが『エルの肖像/SoundHorizon』だ。
正直、「クリスマスソング」にカテゴライズされる楽曲では全くない。

それでも、クリスマスイブの夜には、旧約聖書のアダムとイブを彷彿とさせるこの曲の、寂莫とした切ないメロディが聴きたくなる。

写真・ぱくたそ

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