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Vol.018 睡眠2

リハラボ 「予防医療ノート」 Vol.018
2019/12/27配信 (2020/8/28まで限定公開)


 このノートは、毎週金曜日にLINEのOpenChatのサービスを使って配信する予防医療ノートです。
予防医療に関するトピックス、ニュース、論文、動画などをお届けします。
 これからの日本の未来は、「自分の健康は自分で守る」時代に突入しました。
 自分の健康を守るための、知識や技術、アイデアなどを提供していきます。


目次


①今週のテーマ
②予防医療ニュース
③予防医療論文
④予防医療動画
⑤今週の名言

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①今週のテーマ


 予防医療などに関するテーマについて、気になったことや感じたことを書くコーナーです。

テーマ「睡眠 2」


 今回は、非常に大事なテーマである「睡眠」について、4回に渡ってお伝えしていきます。
 前回は、睡眠のメカニズムについてお伝えしました。
 今回と次回では、快眠生活を送るためにはどうしたら良いか、具体的な方法を7個挙げていきます。
 


①自分は朝型か夜型かを知る

 人間の睡眠のリズムは、超朝型、朝型、中間型、夜型、超夜型の五つのタイプに分類されます。
 朝型は早寝早起きのリズムで、夜型は遅寝遅起きのリズムで寝ることを言います。
 朝型や夜型は、約350の遺伝子によって決定されます。また、年齢によっても決定されます。10代は夜型で高齢者は朝型になる傾向があります。
 それらを踏まえて、自分はどのタイプになるのかを知ることが最初のステップです。
 早寝早起きが万人に良いとは限りません。睡眠リズムは人それぞれ違いますから、そのリズムに合わせて睡眠をとるようにしましょう。

②休日と平日の睡眠リズムを一緒にする


 快眠のポイントは、睡眠負債を貯めずに睡眠のリズムを一定に保つことです。
 睡眠負債とは、いつもより不足した睡眠時間の蓄積のことを表します。
 睡眠負債を抱える人の特徴は、休日と平日の睡眠時間が違う人です。
 理想的な睡眠時間が8時間の人が、普段の生活で6時間しか寝ることができない人は、2時間分の睡眠負債を背負っていることになります。
 寝溜めしても睡眠負債は返済できないので、普段の睡眠時間の確保がいかに大事か、ということがわかります。
 また、睡眠中央時間を揃えることも重要になってきます。
 例えば、平日は夜10時に寝て朝6時に起きる人が、休日には夜2時に寝て朝10時に起きる生活を送っていたとします。
 睡眠時間はどちらも8時間ですが、睡眠中央時間は前者が夜2時、後者が朝6時になります。
 この睡眠中央時間の差のことを「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」といい、睡眠負債を抱える人の特徴でもあります。
 以上のことから、睡眠は休日も平日も一定のリズムで寝ることが快眠には重要なのです。

③部屋の暗さ 

 部屋の暗さは、暗い方が入眠しやすいです。
 テレビを付けっぱなしにして寝ないこと、寝る前にスマホを見ないこと、なども大事なことです。
 また、朝日が入るカーテンにすることも快適な目覚めには必要です。
 朝の光は、体内時計をリセットする働きがあります。
 また、朝の光を浴びることで、ノンレム睡眠が続き、爽快な目覚めになるようです。

④部屋の静けさ


 部屋の音も、当然静かな方が入眠しやすいです。
 テレビや音楽、ラジオなどの音を消すか、オフタイマーにして対応しましょう。

⑤快適な室温


 室温が高過ぎたり低すぎたり、湿度が高すぎたりといった環境も睡眠の敵です。
 快眠のためには、エアコンを付けたり、ストーブを付けたりすることも必要になってくるでしょう。


⑥深部体温の放熱

 睡眠前は深部体温が下がることで入眠する特徴があります。
 ですので、寝る前の2時間は入浴はしないほうが良いと言われています。特に熱いお風呂に長時間浸かると深部体温が上昇し、入眠しづらくなります。
 また、電気毛布も深部体温を上昇させますので、寝る直前はスイッチを切るなどの対応が必要になります。
 さらに、入眠前の激しい運動も深部体温が上昇するので、快眠には良くありません。
 だからといって、入眠前に身体を冷やせばいいかと言うと、そうではありません。
 深部体温が下がり、皮膚体温が上がって手足から放熱が起きていることが入眠のきっかけになるので、身体は適度に温かくすることが重要になります。
 


⑦寝る前にスマホを見ない


 最後に、寝る前にはスマホを見ないことが快眠には重要になります。
 スマホの光はブルーライトが含まれており、このブルーライトが体内時計を遅らせることに繋がるのです。
 脳には視神経が交差する「視交叉上核」と言う場所があり、そこに体内時計のマスターがあります。
 ブルーライトを目に入れると、視交叉上核に刺激が入り、覚醒してしまいます。
 その結果、体内時計が1~2時間遅れてしまい、睡眠負債が貯まってしまうのです。

 以上、快眠の為にできることを7個挙げました。

 睡眠の質は人生の質だと思ってます。睡眠が色々な問題を解決してくれるからです。
 身体的な病気や精神的な病気、小さな悩みなど、寝れば治ることが沢山あります。
 睡眠の質を上げるにはどうしたら良いか、少しでも考えるきっかけになればと思います。
 次回も、快眠の為にできることを、視点を変えて3つ挙げていきます。


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②予防医療ニュース


 今週の気になったニュースをピックアップして、感想を交えながらお届けします。

~ 転載↓ ~


出生数86万人に急減、初の90万人割れ 19年推計


 厚生労働省が24日発表した2019年の人口動態統計の年間推計で、日本人の国内出生数は86万4千人となった。
 前年比で5.92%減と急減し、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回った。
 出生数が死亡数を下回る人口の「自然減」も51万2千人と初めて50万人を超え、政府の対策にもかかわらず少子化・人口減が加速している。

 少子化は社会保障の支え手の減少に直結するほか、潜在成長率の低迷を招く恐れがある。
 人口減が予想より早く進む事態への備えが求められる。


~ 中略 ~


 出生数の急減は複数の要因が重なった可能性がある。
 最も大きいのは出産期の女性の人口減少だ。
 総務省の統計では2019年7月時点で25~39歳の女性は969万人で、前年同月から約21万人減った。
 1971~74年生まれの団塊ジュニアが2019年に45歳以上になった影響もある。
 同研究所の岩沢美帆・人口動向研究部長は「この世代は就職氷河期に直面するなどし、若い頃に見送っていた出産が後ろずれしたことで、直近の出生率を下支えしていた」と話す。

~ 転載終わり ~
 

出典 日経新聞

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO53727740U9A221C1MM8000?n_cid=DSREA001


・感想

 出生数と出生率は、20年後の未来予測をするために大変参考になる数値です。
 今現在の日本の経済状況は、現在の人口ピラミッドが表していますが、20年後の日本の経済状況は、出生数と出生率で予測することができます。
 なぜなら、今生まれた赤ちゃんが20年後に生産年齢人口に達するからです。
 今回の結果から、出生率は1.42と横ばいであるが、出生数は年々減少していることがわかります。
 夫婦が平均して1.42人の子供を産んでいるのには変わりありませんが、夫婦の数そのものが減少しているため、出生数だけが下がっているのが現状です。
 このままでは、20年後も日本の経済状況は低下し続けることが予想できます。

 解決策としては、

 ①定年の延長
 ②段階的に移民を受け入れる
 ③ロボットによる生産性向上
 ④女性の社会進出向上
 ⑤他国の合併(もしくは侵略)
 
 など、生産年齢人口を上げる政策があげられますが、どれも厳しい手には変わりありません。

 個人としてできる対策は、

 ①健康を保つ
 ②生活レベルを少しずつ下げる
 ③自給自足
 ④自分のスキルを磨く
 ⑤外国人を相手に仕事をする

 などがあるでしょう。
 特に、②の生活レベルを少しずつ下げながらQOLを維持することが鍵になると考えます。
 なぜなら、一度上げた生活レベルはなかなか下げることは難しく、下げることができてもQOLも同時に下がるからです。
 
 さて、いかがでしょうか。
 今回は、出生数から未来予測、解決策について感じたことを書いてみました。
 いつも、このように未来予測ばかりしている毎日です。
 
 
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③予防医療論文


 今週の気になった論文をピックアップします。

~ 転載↓ ~


 記憶を思い出すには体内時計の働きが必要である -脳内の体内時計が記憶を思い出させることの発見とその分子機構の解明-

発表のポイント

 脳内(海馬)の生物時計が壊れた遺伝子操作マウスでは、記憶を思い出せなくなったことから、体内時計が記憶の想起(思い出し)に貢献していることが初めて明らかとなった。

 体内時計が神経伝達物質ドーパミンを活性化することで記憶を想起させている分子メカニズムも初めて明らかとなった。

 記憶を思い出せなくなった遺伝子操作マウスでもドーパミンを活性化することでその障害が改善されたことから、加齢後や認知症における記憶を思い出せない症状改善方法の開発が期待される。


発表概要

 年を取ると、思い出(想起)したくとも、うまく思い出せないことは人類共通の悩みです。
 また、認知症などの記憶障害の原因が思い出せない障害である可能性も大きいですが、この観点からの研究は進んでいません。
 一方、齧歯類を使った記憶研究でも、記憶するメカニズムの解明は進んでいますが、思い出すメカニズムの解明は進展していません。

 以上の背景のもとで、東京大学大学院農学生命科学研究科の喜田聡教授らは、記憶に対する体内時計(体内の生物時計)の役割を明らかにするため、遺伝子操作により記憶中枢である海馬の生物時計が壊れたマウスの解析を進めました。

 その結果、遺伝子操作マウスは記憶を思い出す能力が低下していること、特に、夕方の時間帯に思い出せなくなることを明らかにしました。
 さらに、体内時計は神経伝達物質ドーパミンの情報伝達を活性化させて、グルタミン酸受容体のリン酸化を引き起こすことで記憶を想起させるメカニズムを発見しました。この結果に一致して、ドーパミン情報伝達を活性化させると、遺伝子操作マウスが記憶を思い出せるようになること(想起障害の改善)も示されました。本研究から体内時計が記憶想起に必要であること、さらに、記憶想起の分子機構が明らかにされました。この研究を応用することで、今までに顧みられていなかった加齢に伴う想起障害の改善、また、想起能力の向上による認知症の改善の道が開かれることが期待されます。

論文

https://www.nature.com/articles/s41467-019-13554-y


出典 東京大学

https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20191219-1.html


~ 転載終わり ~
 

出典 


・感想

 今週のテーマとリンクしますが、今回は体内時計と記憶の論文を取り上げました。
 体内時計を規則正しくすることは、記憶力が良くなることがわかります。
 昔から「寝る子は育つ」と言われていますが、それは身体だけでなく、脳の海馬も育つようです。
 体内時計を整えるために、規則正しい睡眠時間を送ることと、眠りの質を向上させることは重要になると考えます。
 特に、子供に対してそういう教育が重要であることがわかりました。

 
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④予防医療動画


 予防医療に関する授業を収録して、YouTubeの限定公開でアップしています。


来月は「肺」のまとめの動画をお届けします。

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⑤今週の名言


今日は少し長いです↓

吉田松陰先生

二十一回猛士手録(吉田松陰先生の花押)

士規七則


冊子を披繙せば、嘉言林の如く、躍々として人に迫る。顧ふに人読まず。即し読むとも行はず。

(書物を開ければ、学ぶべき立派なことが山と載っていて、私達の心に訴えかけてくる。考えるに人は折角のその書を読まない。もし読んでもその得た知識を行動に表さない。)


苟に読みてこれを行はば、則ち千万世と雖も得て尽すべからず。

(事実、書を読み実践したならば、幾千万年にわたっても実践しつくす事はできないのである。) 

噫、復た何をか言はん。然りと雖も知る所ありて、言はざる能はざる人の至情なり。

(ああ、ことさら言うことではなく、ただ実践すれば良いのである。しかし知っていたら、その事を言うのが人の情というものである。) 


古人これを古に言ひ、今我れこれを今に言ふ。亦なんぞ傷まん、士規七則を作る。

(昔の人は昔なりに言い、私も私なりに言う。何を慮ることもない、よってここに士規七則をつくる。)


 


一、凡そ、生れて人たらば、よろしく人の禽獣に異るゆえんを知るべし。

   (人として生まれたならば、人が鳥や獣と違う所以をしらないといけない。)


   けだし人には五倫あり、しかして君臣父子を最も大なりと為す。

   (思うに人には五つの道理があり、その中でも君臣の関係・父子の関係が

    最も重要である。)

 

   故に人の人たるゆえんは忠孝を本となす。

   (であるから、人が人である所以は忠と孝を基本とする。)


 


一、凡そ、皇国に生れては、よろしくわが宇内に尊きゆえんを知るべし。

   (万世一系の天皇を頂く我が国に生まれたからには、

   我が国が天下において貴重な存在である事を知らねばならない。)

   けだし、皇朝は万葉統一にして、邦国の士夫世々禄位を襲ぐ。

   (思うに、我が国は万世一系の大君を頂き、

    諸国の武士がその身分を世襲している。)

   人君、民を養いて、もって祖業を続ぎ、臣民、君に忠してもって父志を継ぐ。

   (大名が人民を養い、元の生業を継承し、それぞれが忠義を行い、

   父の志を受け継いでいる。)

   君臣一体、忠孝一致、ただわが国をしかりとなす。

   (こうして、君臣一体、忠孝一致となる、これは我が国だけの特色といえる。)


 


一、士の道は義より大なるはなし。義は勇に因りて行はれ、勇は義に因りて長ず。

   (武士の道において最も大切なのは義である。

   義は勇気に因って行動に移され、

   勇気は義を知ることにより大きく成長する。)


 


一、士の行は質実欺かざるをもって要となし、巧詐過を文るをもって恥となす。

   (武士の行いは、質素、実直、人を欺かない事が肝要である。

   人を欺き、自分を飾る事は恥とする。)

   光明正大、みなこれより出ず。

   (正しき道義を行い、身が潔白であることは、これらの理由からである。)


 


一、人、古今に通ぜず、聖賢を師とせずんば、すなわち鄙夫のみ。読書尚友は君子のことなり。

   (人間として古今の出来事に通ぜず、

   聖賢を師としない者は、心の貧しい人間である。

   書を読み、それらを友にすることは君子のなすべきことである)


 


一、徳を成し材を達するには、師恩友益多きにおり、故に君子は交遊を慎む。

   (徳を磨き優れた人間に達するには、

   恩師、友が多いことが条件であるから、君子は人との交流は慎重に行う。)


 


一、死して後やむの四字は言簡にして義広し、堅忍果決、確乎として抜くべからざるものは、

   これをおきて術なきなり。

   (死ぬまで努力するの四文字は言葉は簡単であるが意味は大きい、

   意思が堅固で忍耐強く、決断力があり、

   断固としてその志を変えない時は、これが最適の言葉である。)


 


右士規七則約して三端となす。

(この右記が士規七則であり、要約すると三つとなる。)

いわく「志を立ててもって万事の源となす。交を択びてもって仁義の行を輔く。書を読みてもって聖賢の訓をかんがふ」と、士まことにここに得ることあらば、またもって成人となすべし。

(即ち、「志を立てることを全ての始まりとする。交流する相手を選ぶことにより仁義の行為を学ぶ。書を読み先達の遺訓を学ぶ。」武士は、誠このような言葉から得るものがあり理解できなならば、完成された人とするべきである。)


                        


よいお年を!

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リハラボ 代表
廣谷迪正(ひろやみちまさ)


リハラボホームページ
https://mkhjwh3.wixsite.com/selfreha

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