夜中に淹れるコーヒー



夜遅く、具体的には23時以降、下手すると25時とかもっと後。ゴリゴリ挽いて淹れるコーヒーは格別だと思っているけど、これがいつからだろうかと考えた。
たぶん大学生になって一人暮らしを始めてからだと思う。きっかけは、友人と過ごす長期休暇にも少し飽きてきて、たまに帰省するようになって実家で飲んだときだと思う。

帰ってきた日の夕食時には好物とお酒をふるまわれるようになり、さほど賑やかでないなりにポツポツと近況を報告し合い、食後はリビングでしばらく過ごす。
「さあ夜。やらなければいけないことも特にない(下宿先に置いてきた)し、読みたい本は数冊持って帰ってきてる。明日も朝から予定があるわけではないし、今から何をしてやろう」と考えているときに、母から「コーヒー淹れるけど飲む?」と訊かれ口にしたものが美味しかったのが、夜に飲む贅沢さを知ったきっかけだった。

「そうか。別にいいのか」と思ったのを覚えている。
最近お気に入りのお店で買ってきた豆を自慢したかっただけかもしれないけど、斬新だったし、人が自分のために用意してくれたコーヒーはおいしく感じた。
「せっかく帰ってきたんだし、もうちょっとそれぞれ夜更かししましょうや」
というメッセージのようにも感じられた。

数年経ち、今日も夜は長く、コーヒーが美味い。
これから過ごす至福の時間を丁寧に抽出して先取りして味わっているような感覚なのかもしれない。

(色々追われてるし、至福なんて悠長なこと言ってられるのは今のうちだぞガハハ)

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