女の幸せ

お前は今日からここで勉強して、 働くんだよ。 立派な女になるんだよ。 と言われて1件の店に連れてこられた。

立派な大人じゃなくて? 立派な女...

綺麗な化粧に、綺麗な着物でご挨拶。 三味線に合わせて舞踊り、 柔らかなえがおでお酌する。 そして...旦那(お客)に女にしてもらう。

これを繰り返して、立派な女に...

何もわからず、踊り、三味線、 言葉遣いを学び座敷にあげられる。

たくさんいい女になれば、 金子も入る。

立派な女に、いい女になってから、 立派な大人になるんだよ。

自分を磨いて、世間も知らず。 毎日、旦那様に可愛がってもらいます。 これがわっちの、大事な仕事。

幼いわっちは言われるがままに育てられ、 店一番の花魁に。

そして初めての恋... 身請けなど到底むりな小さな問屋の若旦那。 会いに来てくれるだけでも幸せで。

それでも他の男に抱かれる日々。 いつか手に手をとってなんて馬鹿なこと。 淡い恋を胸に秘め、違う人に身請けをされる。

いや、わっちはまだここにいたいでありんす... そんなわがままはもう通用しない年頃に...

悪い人ではありません。 わっちを大事にしてくれます。 妾ではなく、伴侶にしたいとまで。

さようなら、私の初恋。 幸せになって下さい。 わっちも幸せになります。

時が経つのは早いもの。 幸せになれない女もたくさん...

売られたわっちは買われて幸せになりんした。

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