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嫌気性排水処理施設:樹脂充填ポンプの可能性

水処理技術は、時代と共に進化してきました。
嫌気性生物処理は、その最前線に立っている革命的な技術の一つです。
特に、省エネ効果が高く、余剰汚泥が少ないという特長から、食品工場やビール工場などの場面で普及してきました。
今回は、少し踏み込んでこの嫌気性排水処理についてご紹介します。


トレンドは嫌気性処理

これまでの嫌気性生物処理はグラニュールを中心とした処理方法でした。
これは高濃度有機排水には適していましたが、低濃度の有機排水への適応は難しいという課題があったのです。
この課題を克服するため、新しい技術として、嫌気性微生物を担体として使用して浄化する方法が注目を浴びてきました。

好気性処理と嫌気性処理

具体的には、嫌気反応槽に硬質な樹脂を充填し、この樹脂に嫌気性微生物を付着させる技術が現在のトレンドとなっています。
ただし、この革命的な技術を実際の現場で使用する際、新たな課題が浮上してきました。

樹脂充填の新たな課題

従来、水処理施設での樹脂塔への樹脂充填には、チューブポンプが使用されていました。
しかし、嫌気反応槽に充填する硬質樹脂の性質上、チューブが破れるトラブルが多発。
さらには、作業現場におけるメタンガスの発生リスクなど、安全面での課題もありました。

これらの課題を解決するためには、新しい充填方法が求められました。
その答えとしてご提案したのが、みつわポンプのスラリーポンプ、シールセルポンプです。

フロー図

樹脂充填ポンプの条件

「反応槽」樹脂充填ポンプは、以下の条件が必要です。

  1. 揚程:10m以上(反応槽の塔頂からでも確実に樹脂を充填することができる)

  2. 水分濃度:体積比で水60%:樹脂40%

  3. 樹脂を破壊せずに充填すること

この条件でシールセルポンプを検証。
実際は、シールセルポンプは遠心渦巻き型ポンプのため、「絶対に樹脂を破壊しない」ことはできませんでしたが、これ以外の条件に関しては十分クリアすることができました。

そしてなにより高評価をいただいたのは、嫌気反応槽への硬質樹脂の充填が、安全かつ確実に行われるようになったことです。
現場作業者の安全を確保するということはとても重要な要素なので、この点で評価を得られたことはみつわポンプにとっても嬉しいお言葉でした。

今回みつわポンプは完全に条件に合うわけではありませんでしたが、それでも一定の改善はできたと考えています。
実際、排水処理の現場も日々進化・変化していきます。
これに伴って日々課題も変化していくので、みつわポンプもこういった新しいチャレンジとともに、つねにカイゼンを進めていきたいと思います。

▼樹脂充填ポンプでテストしたシールセルポンプ▼

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