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弊社でのBCPへの取り組み

今回は、BCPについて、弊社での取り組みをご紹介します。
“BCP”とはBusiness Continuity Planの略で、日本語に訳すと「事業継続計画」です。

今でこそBCPという言葉は一般的になり、事業計画策定フェーズにおける重要な検討事項のひとつになっていますが、2001年9月11日の世界同時多発テロがきっかけとなるまでは一般的にはほとんど知られていませんでした。
より身近なこととして捉えられるようになったのは、その約10年後の2011年3月11日、東日本大震災以降ではないでしょうか。

しかし、震災などの自然災害が多い日本において事業を行う上で重要な検討事項であるにも関わらず、まだまだその整備状況は十分ではありません。
未だに多くの日本企業で充分なBCPが整備できていない、というのが現状です。

私たち三ッ輪ホールディングスグループはエネルギー事業を展開する企業であり、地域の方々の生活を支えるインフラを提供する、という社会的責任があります。
弊社が事業を継続することが、即ち「地域の皆様の生活そのものを安定的に継続させること」に直結します。

以下では、弊社が業務に組み込んでいる災害時のBCP施策の例をご紹介します。

震災に対する備え(社員安否確認)

災害等発生時には、何においてもまずは弊社内の状況を把握することが大切です。
社員がどこにいて、安全な状況なのか、怪我をしていないか、連絡は取れるのかなど、諸々の情報を整理する必要があります。

多くの企業で導入している「社員安否確認の仕組み」は、災害時等のプロセスのひとつとして、様々なサービスが存在します。
弊社グループで備えている災害等発生時の処理の一例をご紹介します。

①    GAS(Google Apps Scripts)を使って気象庁のサイトから地震速報を随時取得
②    一定以上の震度の地震発生時は、自動的にSlackで社員に安否確認メッセージを送信
③    安否確認メッセージを受け取った社員は、メッセージに記載しているリンクからGoogle Formsで安否情報を報告
④    Google Formsに入力された情報はGoogle Sheetに溜め込まれる
⑤    管理者はGoogle Sheetで社員の安否情報を参照

簡単な仕組みではありますが、社内で運用するには十分な品質で機能しています。
ただし、仕組み自体が気象庁、Google、Slackと言った外部サービスに依存していることもあり、それらサービスの継続性も考慮した上で、更に代替運用の整備等の検討は継続的にしていきたいと考えています。

水害に対する備え(ハザードマップを用いた浸水リスク情報のデータ化)

近年、地球温暖化の影響で頻発する災害の中でも、特に水害が増えています。
毎年の台風や、最近よく話題に上がる線状降水帯の出現による大雨で、過去30年に短時間豪雨の発生頻度が全国で約40%も増加しているそうです。
その結果、河川氾濫の可能性が増し、水害のリスクが大きくなっています。

弊社が主に供給しているLPガスについては、河川等の氾濫により各家庭に設置するガスボンベが流されてしまう可能性があり、LPガス供給事業者として対策することが義務付けられています(液石法容器流出防止対策関連規制)。

弊社では災害発生時に被害が見込まれるエリアに該当する顧客のリストアップを行うことで速やかな対応が取れるよう準備を行っていますが、このリスト化作業を自動化するため、専用のRPA(Robotics Process Automation)を開発しました。
顧客管理システムから出力したリストを元に、国土交通省のハザードマップから弊社ガス供給地点の災害想定情報を自動的に抽出し、リスト化するロボットです。

これにより、災害発生が見込まれる対象エリアに該当する顧客を正確に把握することができ、有事の際にスピーディに対応するための準備ができました。

災害時のリソース配置のための基本データ整備

弊社はガスの小売販売を行っており、ガスの供給先において、ガス機器・設備やその設置および運用、設置環境に関する保安義務があります。
ガスを販売・供給するだけでなく、安全にガスを利用できるところまでを含め、その運用の一部にも責任を持っているのです。

例えば、「定期的に供給先で使用しているガス機器の点検を行う」「ガス漏れやそれによる二次災害の発生リスクがある場合にメーターを遮断する」といった、現場作業を含む対応を行っています。

災害時に現場にすぐ人員を派遣できるよう、保安対象となるエリアから一定距離内に必要な人数の保安要員(資格保有者)を配備する必要があります。
「必要な時に、必要な場所に、必要な人がいる」ことが重要です。

平時には各エリアに出動可能な人員を各拠点に配備していますが、災害時には弊社社員全員がすぐに動ける状態にないかもしれません。
そんな時に備え、管轄するエリアに流動的に人員を出動できるよう、常に資格情報を含めたリソースリストをメンテナンスしています。

現在はリソース管理に留まっていますが、管理機能を高度化し、先に挙げた安否確認の仕組みなどと組み合わせることで、将来的には災害等発生時に自動で最適人員配備ができるよう強化していければ良いと考えています。

拠点被災時の業務システムテイクオーバー

最後は出動するべき相手、お客様の情報管理についての対応についてお話します。

弊社では、顧客管理システムとして独自システム“MCS”を使用しています。MCSはクライアント・サーバー構成で、サーバー機能は各事業所のオンプレミスのサーバーで稼働しています。

ある拠点が被災し、サーバーに接続できなくなった場合には、日次で取得しているバックアップを稼働中の拠点にリストアしサーバー機能をテイクオーバーすることで、業務継続が可能です。

また、オンプレミスシステムのメリットとして、1台のPC内にクライアント、サーバーの両機能を設定すれば、完全にネットワークから遮断された環境でも稼働できる、という点が挙げられ、このような構成であればインターネットにつながらない状況でも業務を継続することが可能です。
MCSでは、スタンドアローン環境でも問題なく機能することを確認しています。

このように、災害が起きることを前提として、その被害状況に応じた複数の復旧方法を整理し、日頃からそれを想定した被災時訓練を行うこともBCPにおいては大切な準備です。

以上、今回は弊社でのBCPへの取り組みをいくつかご紹介しました。
日本という自然災害の多い環境で事業を継続できるかどうかは、日頃からいかに準備をしているかに関わってきます。

インフラ事業者として安全・安心にエネルギーを供給し、皆様の生活を支え続けていけるよう、今後ともより工夫を凝らしてBCPに取り組んでいきたいと思います!

三ッ輪ホールディングス株式会社 BTI部 部長 タケヒロ
2002年からSIerにて官公庁や大手銀行、海外系電子決済等、主に大規模系B2Bサービス開発に従事。その後、コンサルティングファームを経て2020年に三ッ輪産業株式会社に入社。現在は、三ッ輪グループ全体のデジタル化や業務効率化、社外向け新規サービスの企画・構築を担当。
得意領域(≒趣味)はスクラッチ開発だが、最近は釣りの分野にも活動領域を広げ、仕掛けづくりの研究開発や新たな釣りものの調査にも日夜努力を重ねている。


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