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「あ、うさこちゃん好きなの?」 と僕は彼女に尋ねた。 彼女が持っていたバッグに、うさぎの絵が描いてあったからだ。 「ミッフィーちゃんなんですけど」 と彼女は怪訝な表情をして答えた。 「ああ、うさこちゃんね」 と僕は言い直した。 「だから、ミッフィーちゃんですけど。うさこちゃんって何よ?」 「だからこれ、うさこちゃんだよね。僕は絵本を持っているから見せてあげるよ」 僕は本棚の奥から、子供のころに読んでいた絵本を取り出した。 「ほんとだ。うさこちゃんって書いてある
深夜2時、僕は彼女を彼女のアパートまで送り届けるために、車を走らせている。 「ごめんね、本当にごめんね。こんなはずじゃあなかったの」 と彼女はひたすら僕に謝る。 僕と彼女は僕のアパートのベッドの中で愛し合った。 しあわせなひとときで、僕らはうとうとと眠りにつこうとしていた。 そのとき、彼女のスマホが鳴った。 彼女の会社の上司だった。 彼女の担当する客先で問題が発生して、土曜日だというのに謝りにいかなければならないとのことだった。 そして僕は今、深夜に車を