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短編小説

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2022年7月の記事一覧

うさこちゃん

「あ、うさこちゃん好きなの?」  と僕は彼女に尋ねた。  彼女が持っていたバッグに、うさぎの絵が描いてあったからだ。 「ミッフィーちゃんなんですけど」  と彼女は怪訝な表情をして答えた。 「ああ、うさこちゃんね」  と僕は言い直した。 「だから、ミッフィーちゃんですけど。うさこちゃんって何よ?」 「だからこれ、うさこちゃんだよね。僕は絵本を持っているから見せてあげるよ」  僕は本棚の奥から、子供のころに読んでいた絵本を取り出した。 「ほんとだ。うさこちゃんって書いてある

次、止まります。

 深夜2時、僕は彼女を彼女のアパートまで送り届けるために、車を走らせている。 「ごめんね、本当にごめんね。こんなはずじゃあなかったの」  と彼女はひたすら僕に謝る。  僕と彼女は僕のアパートのベッドの中で愛し合った。  しあわせなひとときで、僕らはうとうとと眠りにつこうとしていた。  そのとき、彼女のスマホが鳴った。  彼女の会社の上司だった。  彼女の担当する客先で問題が発生して、土曜日だというのに謝りにいかなければならないとのことだった。  そして僕は今、深夜に車を