購入しませんか?
シェア
僕がアパートに帰ると、ベッドの中に僕の彼女と知らない男が寝ていた。
「考える人って、何を考えていると思う?」 と僕は彼女に尋ねた。 「何も考えていないと思う」 と彼女は答える。 「え?」
「「太陽がいっぱい」っていう映画、知ってる?」 と彼女は僕に言った。 「フランス映画でね、アラン・ドロンがすごくハンサムでかっこいいのよ。それでね、私はその映画の中にいる夢を見たの」 という彼女は、その映画の映像を頭の中に思い浮かべているかのようだった。
「ねえ、私ね、バーテンダーになろうと思うの」 と彼女は唐突に言った。 「何で?」 と僕は訊ねた。 「ただのバーテンダーじゃあ無いのよ。踊るバーテンダー」 「え? 踊るさんま御殿?」 「違うわよ。何が「踊る大捜査線」よ?」 い、言ってない。 「だからね、踊りながらカクテルを作るの」 「もしかして、映画観た?」 「うん」 「カクテル !」 2人が同時に叫んだ。