息子はなぜサメニンジャに夢中なのかについての考察
はじめに
こんにちは。ヨシミツダです。
今日はちょっと話題が専門的になってしまうのですが、YouTubeアニメの「サメニンジャ」に、なぜ息子が夢中になっているのかということについて考察してみました。
サメニンジャについて
サメニンジャとは、サメの姿をしたニンジャが活躍するYouTubeのアニメチャンネルで、「なーちゃん」という著名なYouTuberの方が作成されているということが、下記のnote記事よりわかりました。
この記事によると、サメニンジャを構想したのは2020年1月とのことで、そこからアニメ制作会社に企画を持ち込み、恐るべきスピードで第1話を作成しています。(企画をもちかけて最初のアニメを1週間で制作してくださいとお願いしたそうです。)
コンテンツの作り方は、失敗すること前提で獲得したデータをもとに改善を繰り返すというデジタルコンテンツの強みを活用して視聴者を増やしているようです。YouTubeのプロである「なーちゃんさん」の分析により、毎回その時のベストの改善をしています。合わせてグッズの販売などもどんどん拡大しています。
何が凄いのか
いったいこのサメニンジャの何が凄いのかというと、大人には簡単に気がつかない哲学やしかけが行われているところです。一方でいわゆる日本のアニメーションの特徴である作画的なディテイルの美しさは失礼ながら、あまり感じません。
それどころか、ほとんどが静止画に近く、セリフでストーリを説明するという簡単な構図のように思えます。
また、話の展開は大人からするといささか急すぎる気がしますが、息子は気にしてないようです。むしろ幼稚園児の話は、脈絡なく展開が飛んだりするので、子ども達には違和感がないのかもしれません。これはサンサンキッズTVなど他のこども向けYouTubeチャンネルでも感じることです。1.2倍速くらいでセリフが流れている気がします。このスピードもおそらくこどもにとって相性のよいスピードなのでしょう。
あと声優の人は多分、素人の人であり、セリフの内容はきちんと気にしてるものの、他のアニメの声優さんのように玄人っぽい声にすることは気にしてないようです。
極端に切り捨てるものは切り捨てるとわりきった上で、制作しているように感じます。カテゴリ的にテレビで放送されているアニメとは別のカテゴリになると思います。
じゃあ、なんで息子は熱心にみてるかというと本人が自覚していること、自覚していないことを含めていくつかあるので紹介します。
息子が自覚していること
ニンジャというキラーコンテンツ
子どもは刀や手裏剣がすきで、あと魔法のような忍術が大好きです。サメの被り物をしたかわいいキャラクター✖️ニンジャというところが、お気に入りのようです。
繰り出される水遁の術や火遁の術という技にも、ドキドキしてるみたいです。
また、誰推しかということを幼児は好きなので、タイプの異なるキャラクターがいることも魅力につながっています。
ただ、忍者×〇〇というのは子ども向けアニメではよく見かけるキャラクターなので、人気の秘密はそれだけではないのでしょう。
描きやすいキャラクター
サメニンのキャラクターはシンプルで幼児でも簡単に描くことができます。
アンパンマンほどではありませんが、どのキャラクターも楽に描けます。
主人公、ヒロインのようなキャラ、主人公の仲間というパーティ構成も、ファンを増やしている要素のように感じます。
息子も、ワサビというキャラクターが気に入っており、さっそく描いてました。
息子が自覚していないこと
図鑑のようなちゃんとした知識
古代のサメ「ヘリコプリオ」さんなど、子どもにとっては、少し難しいかなというキャラクターが、結構でてきます。少し難しくても、こういった生き物の特徴や知識をきちんと説明してくれるところも息子の記憶には残っているみたいです。当たり前のように思われる水の中で火は使えないというようなことも、子どもにとっては大事な発見でしょう。
たんに視聴回数を増やすだけなら、別の手段もあるはずですが、あえて図鑑的知識を、それも簡単に伝えているのです。
制作した「なーちゃん」さんは、キャラクター設定にこだわり、知識は正しく伝えるということをおっしゃっており、コンテンツを制作する上でのポリシーなのだと思います。
子どもに見てほしい表現を考える
鬼滅の刃は幼児にも大人気ですが、人の首がとんだり、血しぶきが飛んだり、幼児向けに作っていないことを考慮しても、面白ければ見せていいのかという親としての悩みがあります。
サメニンは言葉遣いも含めて、残酷な表現にならないように気をつけているので、そういった心配はありません。敵キャラである悪役のキャラも汚い言葉は使いません。親御さんにとっても安心して見せられる番組と言っていいでしょう。
キラーコンテンツの分析
この幼児向けのキラーコンテンツといえば、誰もが知っているアンパンマンだと思います。
なーちゃんさんもアンパンマンの凄さをかなり感じているようなツイートを散見します。確かに50年以上消費され尽くされながら鮮度を保てるコンテンツは、他にないでしょう。
あるとすれば、聖書や「星の王子様」など、壮大な訓示を内包する物語だけでしょうか。
これは私見ですが、アンパンマンがコンテンツとして長持ちするのは、作者であるやなせたかしさんの戦争体験からくる「飢餓こそが絶対悪」というテーマが、反証の余地がなく人の本質の根源にあるものだからではないかと考えています。だから自我が芽生えはじめる年代に刺さるのではないでしょうか。バイキンマンは悪ではないのです。戦争体験で正義という言葉の危うさをしっているからこそ、到達した境地なのだと感じます。
話がそれましたが、なーちゃんさんは見る人(ここでいうと幼児)の目線を徹底的に研究して、「見る人の目線」+「客観的にデータからわかった事実」からの改善を反映しているように思います。子どもというのは、本質なものにしか興味を示さないし、選択もしません。
子ども向けのコンテンツ設計は、結構奥深く設計は難しいものだと思いますが、とりあえずはじめて改善するというYouTubeのスタイル(というかデジタルのスタイル)で早期に立ち上げて、仕上げているのはすごいことだと感じるのです。
サメニンは結構深いアニメコンテンツなのです。
今回は、子どもの行動を観察してふと気が付いたサメニンのすごさについての考察について紹介しました。一見シンプルに見える物事の背景にある事を考えることも楽しいですよね。
それではまた。