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*読了2冊目*『光のとこにいてね』

2023年本屋大賞第3位、直木賞候補作、「光のとこにいてね」一穂ミチ著を読んだ。

主役は果遠と結珠というふたりの女の子だが、私が圧倒的に応援したいのは結珠の家庭教師、藤野だった。
なんでこんなにいい男なんだ?
でもこの物語においては、彼がいい人であればあるほど悲しい。
ただの都合のいい登場人物のように思えてしまう。

藤野は小瀧家の不穏さも、結珠と果遠の事情も、全部知ってたくせになんでわざわざ結珠を選んだのかなと思う。
結珠に惚れたというよりは、結珠と果遠の関係に憧憬のようなものを抱いてその行く末を確認したかったようにも見える。
たぶんあの日、果遠に話しかけられていなかったらこういうことにはなっていなかったろう。

そしてもうひとりのいい男、水人に至っては何も知らされずにこういうことになっている。
好きな女の子を助けたと思ったら、その子が色々と訳アリの子であり、心の広い水人はそういうのも全部ひっくるめて果遠を愛すが、愛せば愛すほど相手の想いが自分にないことに気づいてしまう。

そういえば果遠の魅力は伝わって来たけど、結珠の魅力は私にはよくわからなかったな。
あの日あそこに居たのが結珠じゃなくても、他の誰かでも良かったのかもしれない的なことを果遠が言っていたが、たぶんそうなのだろうと思う。
でも「たまたまその人がそこに居た」それこそが運命っていうことなのだろう。

「光のとこにいてね」というタイトルがとにかく素晴らしい。
このタイトルに魅かれて読んだ。










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