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思い出に残るツアー (私の失敗編)

ずいぶん前にアートの通訳ガイドとしてご案内したことがあります。それもかなりの富裕層ご家族で、家族揃ってアートに造詣が深い様子。しっかりアートを観るための旅のようでした。

私はというと、まだガイドを始めて間もない頃だったこともあって、いつになく緊張気味でした。当日彼らの口から飛び出す質問はかなり突っ込んだアーティストに関するものばかり。

「このアーティストは東京のXXXにあるあちらの作品よりも先に作成したのかしら」(私の心の声:そんなん知らんし!)
「この人はN YのXXXの影響を受けていて...」(マジですか?)

そんな感じの会話が続きました。

質問に対し、ごめんなさい、その部分は知らないです、という答えを何度も繰り返してしまいました。残念ながら私はこの日、昨日のブログに書いた

It is always about audience.

というお客様の要望にしっかりと答えるガイドができなかったと感じました。お客様もそれを察知ようで、午後になる頃にはもうアートに関する質問を私にしなくなり、家族3人で話し込んでおられました(涙!)。このツアー終了後は、私はかなり落ち込んで数日は家にこもっていたなー。

でもね We all have to start somewhere. ということで、私も失敗を体験して今の私があるわけです(今も失敗だらけですが)。でもふと思ったのです。もしもう一度同じお客様を同じ場所でご案内させてもらえるとしたら、私はどう対応するかな、と。思いつくのは以下の3つ。

1 もっと念入りにアートについて下調べをしておく
アートについて私なりに前準備と下調べはしたつもりだったけど、それは私の思う準備であって、彼らの望むものではなかった。普段からアート鑑賞を楽しむとか、アートを好む人たちがどんなものに興味を持ってアートを眺めているのか(特に私たちの場合外国人観光客が、ですね)を普段からアンテナを張り巡らせておく。

2 ツアーで彼らとの接点を見つける努力をする
アート、彼らの生活、母国について、日本に来た理由、なんでもいいのですが、何か接点が見つかるよう会話をもっと準備しておく。まずは「日本に関心があってここにきているのだから、まずは日本という接点を探る」から入るかな。ご主人は大きな企業のCEOだったので、本当は彼のビジネス経営についてお聞きしたかったんです。でもプライベートで来られているし、と思い、遠慮しちゃったのです。でも彼らの生活に関する質問は直接ビジネスに関連していなくても、もっとあったはず。前回はそこがまだまだ浅かったかも。

3 知らないことを知らない、と投げてしまわず一緒に調べる努力をする
アートについて聞かれたらどうしよう!と初めから緊張していた私。わからないことは知ったふりをせずにわからないことを伝えるのよ、と先輩ガイドの方から聞いていた私はそのままI don't know を繰り返していたかも。でも人間全てを知っているわけはなくって、知らないことは知らないと認めつつも、それをその場で調べる努力だったり、一緒に答えを探すことも大切だったね、と今は反省。

皆さんならどんな準備をされますか?初歩的なミスばかりですが、私の失敗が皆さんの成功につながれば、私の失敗も無駄ではなかったということになるかな?

失敗は当たり前。それを9回こなし、そこから学べば10回目には成功するから、と思って今日も頑張りましょう!

(写真:ヨットで海を超えて新しい島に到着するとき、陸が見えるとほっとするんです。そして陸を離れ、さらに航海を続ける時、陸が遠くなるのを少し寂しい気持ちと緊張を胸に眺めるんです。)