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遺伝だと諦めていた「巻き舌」ができるようになった話~原理と練習法

こんにちは、今回は初の言語関連noteを。

突然ですが、皆さんは「巻き舌」できますか?いわゆる江戸っ子がするようなイメージのラ行の発音、ドゥルルルルルってやつです。私はできませんでした。昔は。ただ、毎日うるさいと家族に怒られながらもお風呂で1, 2か月練習することで習得することができました。

日本語ではこの音を出す必要のある状況はほぼゼロだと思いますが、世の中にはこの音の習得が重要になる言語が結構あります。代表的な所だとイタリア語やスペイン語、ロシア語あたり。あとはインドネシア語のRなんかもそうだったと思います。

この「巻き舌」、何の苦労もなく小さい頃からできる人もいれば、どれだけ頑張ってもできないという人もいます。自分は完全に後者の人種でしたが、努力の結果、後天的に習得することに成功しました。自分以外にも言語学習者で「巻き舌」の習得に苦労している人がいるはずで、少しでもそのような人の助けになればとこの記事を書きました。

最初に私が「巻き舌」をできるようになりたいと思った理由、その後でこの音が出る原理、最後に自分がやって良かった練習法という流れです。


スペイン語の [R]

私が「巻き舌」が出せるようになりたかったのは、スペイン語を勉強していたからです。スペイン語では日本語のラ行と同じ発音のRと「巻き舌」のRを使い分けます。

例えば、普通のラ行で「かろ (caro)」と言えば値段が高い、みたいな意味になるのに対して、「巻き舌」で「かっっっろ (carro)」と言えば車という意味になる、といった具合です。

これらの音が区別して発音できなかったとしても文脈で意味は伝わると思いますし、ネイティヴスピーカーの中にも発音できない人はいるのかもしれません。ただ、せっかくスペイン語を話すなら「巻き舌」も発音できるようになりたい!という思いから、練習を始めました。


音の出る原理

「巻き舌」の練習を本気でしようと思った私は、まずはどのような原理でこの音が出るのかを探しまくりました。ネットで「巻き舌 原理」で検索したり、できる友達にどう口の中が動いているか聞いたり。変に練習法を色々と試すより、最初に原理を確認・理解するのが習得への近道だと思っています。

日本語でラ行を発音する時、舌が口の上側につき、そこをはじきながら音を出していると思います。このポジションに舌がついた状態でここに発声のための空気を通すと、舌が振動することで「巻き舌」の音が鳴ります。下の画像はよくある顔と口、舌の位置を表した図です。絵が下手なのは許してください。舌が図のように口の上側についており、そこに赤矢印のように空気が当たり、振動します。

図1

記事の最初からずっと「巻き舌」とカギカッコを付けているのはこのためです。よく「巻き舌」と言われますが、発音時に舌は巻きませんし、逆にいくら舌を頑張って巻いたところであの音は出ません。このミスリーディングな名前に騙されている人は意外と多いのではないでしょうか。

まずはこの原理を理解し、練習する時も頭の中でこのイメージを常に思い浮かべながらやるのが一種のコツだと思います。


オススメの練習法

私的オススメ練習法がこれ。

1. ラ行を発音する直前の位置、口の上部に舌をくっつける

2. 舌の少し手前(下図参照)めがけて息を当てる

息の位置

これだけ。これで少しでも舌が震える感触が感じられたら、後はそれを繰り返して練習するだけです。舌の力を抜くと気持ちやりやすいかもしれません。コツは下に直接息を当てようとするのではなく、若干後ろめを狙うことです。

これができるようになったら、次はいくつか単語を試してみると感覚がつかめて良いと思います。スペイン語だと、語頭か語末に巻き舌が来る単語(rico, reloj, perro, tierraなど)がやりやすい気がします。

最終的には recorrer とか ferrocarril とか言えるようになるはずです。


とはいえまだ難しい

私も練習を経て単語レベルや言いやすい音なら発音ができるようになりましたが、まだ最初から先天的にできる人と比べると難しいフレーズは多いです。

スペイン語で言うと churrería とか desarrollar など、「巻き舌」がアクセントを伴わずに語中に来るパターンが難しい気がします。

あとは、por や動詞の不定詞のような語末の母音を伴わない r を少し抜くように巻く感じ。これもナチュラルに発音するのがめちゃくちゃしんどいです。

ただ、最初は発音すらできなかった音が練習の結果できるようになったので、この辺の音も練習次第でできるようになると信じてます。

いつか r の音のインパクト効きまくりなスペイン語を話せることを夢見て。

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