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クリエータ紹介④:谷澤健太さん・甲斐貴一朗さん - 人肌恋しさは技術で解消できるのか

このnoteでは、福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称・福岡未踏)のプロジェクト採択者について、プロジェクトの詳細や福岡未踏にかける思いをご紹介します。

今回は、ロボットハンドとARの技術を使って「仮想の彼女とお散歩デート」を実現しようと奮闘する谷澤さん、甲斐さんの挑戦をお伝えします。

左)甲斐貴一朗さん、右)谷澤健太さん

プロフィール

  • プロジェクト名:ARお散歩彼女

  • 支援プランと期間:Pro(23年8月~24年1月)

  • クリエータ:谷澤健太さん(九州大学 大学院 統合新領域学府 1年生)、甲斐貴一朗さん(九州大学 大学院 システム情報科学府 1年生)

これまでの歩み、来歴

谷澤さんは高校時代にテレビで鳥人間コンテストに関する番組を見て感動したことをきっかけに、大学1年生から4年生まで、鳥人間コンテストでの飛行機制作に没頭する生活を送っていました。食事の時間以外はすべて飛行機作りに捧げるような毎日で、あっという間に時間が過ぎていったと話します。そんななか、当初志望していた機械系の大学院の試験をパスできず、他学府の研究室を調べたところ、充実した研究環境や自由な雰囲気に惹かれて峯研究室に入ることを決めました。

一方甲斐さんは、高専出身で電気系の学科から情報系へと進み、荒川研究室でのアルバイトを通じて開発の世界に足を踏み入れました。元々ものづくりは好きだった甲斐さんですが、自身で開発をしたりアプリコンテストに出したりといった活動をするなか、「自分が作ったものが動く」という開発の楽しさにのめり込んでいったと言います。

二人は異なるバックグラウンドを持ちながらも、ものづくりへの共通の情熱で結ばれています。

担当PM 一番左)今津研太郎氏、中央左)西田健氏とお二人

プロジェクトの概要

谷澤さんと甲斐さんが二人で取り組むのは、「ARお散歩彼女」というプロジェクトです。一緒にお散歩したい女性を、AR(Augmented Reality・拡張現実)で表示できるデータに落とし込み、ロボットハンドが手の形を再現。ユーザーは、仮想の彼女と手を繋ぎながらの散歩を楽しめる…という斬新なアイデアです。

このプロジェクトは3Dスキャンやフォトグラメトリー技術を活用し、リアルタイムで反応する女性キャラクターを生成。ユーザーはARデバイスを通じて、彼女との散歩を体験できます。

「AR技術を使った開発をしてみたい」と考えていた甲斐さんと、「彼女がほしいが、そう簡単にはできないから技術で解決したい」と考えていた谷澤さん。二人の野望が融合し、この唯一無二のプロジェクトアイデアに繋がりました。

役割分担として、谷澤さんはロボットハンドの開発を担当し、リアルな感触の再現に挑戦しています。甲斐さんは、AR上で女性を表示する部分の開発を担当しています。

福岡未踏への応募理由

鳥人間コンテストに夢中になっていた谷澤さん。引退してから、その情熱を持て余し、「なにかに熱中したい」と感じていたと言います。一方の甲斐さんも、AR技術を使ったプロダクト開発をしてみたいという思いがありました。

もともと研究室の繋がりで知り合いだった二人が、福岡未踏の説明会に参加した帰り道、アイデアを話すなかで「これは面白そうだ、やるしかない」と意気投合。プロジェクトの提案においては、触覚デバイスなどの研究論文を読み漁り、万全の準備をして臨みました。

福岡未踏で成し遂げたいこと

無事に採択された本プロジェクトは、開発期間の折り返しを迎え、想定以上の進捗を見せているとのこと。二人が共通して狙っているのは、福岡未踏の最終報告会でより大きなサプライズを提供することです。

谷澤さんは、ロボットハンドの力加減や温度など、より人間らしい質感を追求し、甲斐さんは、3Dモデルのクオリティ向上に心血を注ぎます。生成する画像データをより自然にしたり、音などもつけてユーザーの感情変容に介入するパラメータを増やすことを狙っています。

また、福岡未踏では、メンターから同様の研究をしている方の存在について教えてもらったり、イベントの際に交流するクリエータに刺激をもらったりする機会もあるそうで、個人開発では得られない経験ができているとも話してくれました。

おわりに

このプロジェクトの次の展開は?との質問に、「膝枕デバイスにも挑戦したい」「通信機能をつけて、遠隔で一緒に散歩ができるようにしたい」と次々とアイデアをシェアしてくれた二人。「夢を技術で叶えたい。しかも周りを驚かせて、自分たちも楽しみながら」そんなワクワクする思いを感じることができるプロジェクトでした。彼らのプロジェクトのアウトプットにご期待ください!

福岡未踏とは

福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称、福岡未踏)とは、福岡県在住の若手クリエータを発掘・育成し、クリエータの「何かを作るための第一歩」を支援し、また、IPA未踏と同等の支援に加え、複数のIPA未踏経験者からなるPM・メンター陣にて、プレ人材向けの支援を行います。

(文:五十川慈)