怒り

テレビ局からの取材依頼が入り、
私はようやく今までの活動が実を結んだと肩の荷が下りた。
それから取材内容、日時の打ち合わせを進めていたが、
また店舗から新たな声明が発表された。
『パスポートの権利失効をした人に返金を行う』

このタイミングでこの発表を行うという事は、
明らかにテレビ放送を危惧しての内容であると感じた。
肝心の発表内容については「該当者」が誰であるか不明瞭であり、
私がこの返金対象になるのか疑問であった。

今更このような対応をされたところで、
形だけのパフォーマンスに納得するような気持ちではなかった。
このまま取材を受ける予定で考えていたが、
テレビ局担当者より取材についての連絡を頂戴した。

「もともと放送を行う予定であった時間帯に、どうしても別の内容を放送
 しなければならなくなってしまった。申し訳ないけれど今回の取材は
    一旦見送りにさせて欲しい。」
頂いた連絡については大変残念であったが、
先方にも事情があるので取材の件はなかった事として割り切ることにした。

しかしながらどうしても腑に落ちない部分があったので、
後日ある弁護士事務所を訪問し相談費用を払い、
今回の一連の流れについて状況を説明し、客観的な意見を貰うことにした。
その時に言われたことは「相手が返金をするというのであればそれで手打ちにすればよいのではないか」との内容であった。

やはりそのような見解になるのかと納得し私は返金書類を待った。
「これでこの騒動も終わりだな」
そんな事を考えている矢先に書類は届いた。そして私は驚いた。
「なんだこれ?」

届いた書類には『返金申請書兼同意書』と題名が書いてあった。
そして肝心の内容を確認したところ
『返金を受け入れる代わりに誹謗中傷、業務妨害、その他の迷惑行為は一切行いません。他の全ての請求権を放棄し、今後は一切の請求・意義申し立て・提訴を行いません』等の内容の誓約を交わすことが必須であった。
更に書類名で検索を行うと書類の内容と一字一句違わないモンスタークレーマー用の書類のテンプレートが見つかった。

明らかに私に非があるような書類を送付され私は頭に来た。
そして絶対にこの書類に押印、署名を行わないことを決断した。

本格的に本件について社会問題として取り上げたく考えた私は
paypalを用いて弁護士費用を募ることにした。
想定以上の早さで目標金額に達成し、この思いは必ず成し遂げると誓った。

ただ、どこの弁護士事務所へ相談を行えばよいかわからない。
本当にわからない。
そしてある評判の良さそうな弁護士事務所に電話をかけてみた。
「あーそれなら素直に返金してもらった方がいいんじゃない?」
やはりだめか。しかし質問が続いた。
「そのトラブルになっているお店の名前は?」私は答えた。
「その話聞いたことあるな。力になれるかもしれない。今度事務所へ来て」

そして戦いは始まった。

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