タケノコ奮闘記
2024年4月20日の夜、タケノコとの戦いが始まった。
いや、戦う気などなかったのだけれど。
いつかタケノコが旬の時期に、自分で茹でて調理して食べてみたい―と、数年前から思っていた。タケノコご飯や土佐煮もいいな。自分で作って食べてみたいな…等々。
とは言いつつ毎年春になると、まあ今回はいいか…面倒だしな…などと先延ばしにしていたのだが。
ついに一週間前、タケノコを購入した。
今だ、とその時直感的に感じたのだ。
スーパーでのいつもの買い物中目の前に現れた、少々小ぶりでお安いタケノコ。
これまで見かけてきたタケノコは、少し大きすぎた。私の手に余るサイズだった。
でも眼前にあるそのタケノコは小さく、きっと私でも扱うことができるだろう。
そう思って購入したタケノコ。これで、旬の食材を使った料理を作る楽しみをまた一つ味わえる!と心を踊らせていた。
購入した週末は出かけたり人と会っていたりとで時間が取れず、いよいよタケノコを料理しよう!と意気込んで迎えた土曜日の夜。
まず一つ目の障壁は、タケノコの茹で方を調べていた時に訪れた。
カゴメのサイトで解説されている、タケノコの下茹で方法。
そこには、こう書いてあった。
おっと…?このタケノコは入手から一週間が経過しているが…?
…嫌な汗が流れたような気がする。
いやいや、知らなかったものは仕方ないし私の目の前にあるのはどう足掻こうが購入から一週間が経過したタケノコだ。嘆いても仕方ない。例えアクが多くて不味かったとしても仕方ない。めげない!しょげない!泣いちゃダメ!!
気を取り直して鍋にタケノコを入れ、解説通りひたひたになるくらいの水を注ぎ入れ…あれ…タケノコ中々浸らない…。
さらに水を注いでいく。
これこの調子でいったら溢れない…?まだいける…?
よし、ようやく浸った。でもこれ絶対吹きこぼれるよね…?
第二の障壁、鍋いっぱいの溢れそうな水。
そこに入れ忘れていた糠を入れたら、これが表面張力であろうか、水と馴染む気が無さそうに糠が水面に浮いている。
…泣いちゃダメ、でもちょっとめげるくらいは許して欲しい。
気を取り直して火にかけていく。
最終的におそらく3Lほどの水を注いだため、当然だが沸騰するまでも時間がかかる。
YouTubeでお笑いチャンネルの動画を見ながら待っていると(最近のブームは令和ロマンと春とヒコーキ)、ようやく沸騰してきたので火を弱める。吹きこぼしでもしたら大変だ。
その後は40分~1時間じっくりと火を通すとのことなので放置。
引き続きお笑いチャンネルの動画を見ていたその時、悲劇は起こる。
シューーーーーーーーーーーッッッツ
突然響く、明らかに何かを吹きこぼした時の音。
やらかした。絶対こぼれた。糠入りの熱湯が…。
ご明察。しっかり吹きこぼれた様子である。
慌てて火を弱め、その後はつつがなく茹で終わることが出来た。
タケノコが冷めるのを待つこと2時間、完全に冷めたタケノコを鍋から取り出して水で洗い糠を取り除く。
そしていよいよ皮をむいていく。これでようやく、タケノコが手に入る。
…これどこまでむいていいんだろう……。
え、こんなにむく?こんなに小さくなるの?ほんと?あんなに大きくて鍋に収まらなかったのに?待ってこれ以上はほんとに無くなりそう、もうやめよう。うん、完成。完成!!
こうして約3時間にわたるタケノコとの奮闘の末、遂にタケノコとの戦いに終止符は打たれた。
そして糠にまみれたガスコンロが残された。
気に入っていただけて嬉しいです。精進します。