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線画をよりよく魅せるには〜太らす、削る、重ねる〜【初心者向け🔰‪】

こんばんは、月曜日からお疲れ様です。
療養休業中イラストレーターのミトシです。


さて、突然ですが皆さま、
絵を描く際の『線画』にご興味ありますか?

今回は線画の魅せ方と役割について、
私のイラストを使って考えていこうと思います。


いま、私は一枚のイラストを進めています。

まだ途中段階なので全貌は明かせませんが、
たまたま色んな表情の線を含んだ
イラストになりそうなので、
これを解剖しようと思います。

この解剖図から、魅力的な線を考えるという
取り組みです。


まず前提ですが、私の絵がそもそも
そんなに上手くないことは
あまりふれないように考えていきます。

ある人には上手く感じるかもしれないし、
イラストに関わる仕事に就いていて
「これはあんまり……」と思う人もいるかもしれません。


そもそも「上手い」「下手」には
主観的要素が多いので、
もう一歩入り込んで
「どんな効果があるか」
見つける記事にしていきます。


この記事では
「絵を描くときの線の描き方がよくわからない」ときに
「どういう役割のときはどう描くか」を
知ることの手助けの説明をします。

「線画が迷子になる」
「線画の効果を知りたい」
というかたに
おすすめです。

小中学生のイラストを描きたい人にも、
ヒントとなる記事を目指します。
ぜひ研究してください。



線画には太さの強弱と役割がある

今回はこの画像の中の線画を利用して
解剖することにします。

翼を持つライオン

この絵の方針は
「描き込み重視の水彩画にする」つもりで
描いています。

ミリペンで線画を細かく描き込んで、
水彩絵の具で透明感のある着色を予定しています。

この画像の中には
線の太さによる強弱や
それぞれの役割分担があります。

大きく4つに分けました。

基本的にはこの4つにわかれています。

それぞれの役割分担や
その線画の効果を分析してみましょう。

①基準になる輪郭線

最初にふれるのは
ミリペンそのものの太さで描いた
「基準になる太さ」の「輪郭線」です。

この絵は一旦えんぴつで下描きした上に
0.1ミリサイズのミリペンでまず
「形を決めるための線」を描いています。

実際の私たちの世界にある物体には
「輪郭線」はありません。

「輪郭線」は、イラストに描いた物体の
「形を決めるための線」として
表現されています。

これは美大入試などでやる静物デッサンなど
モノの質感や陰影だけで描く際には
描かないように教わります。

「輪郭線」はモノをとらえやすくしてくれますが、
実際には存在しないもの。

「物体の記号化」に役立つ効果があります。

モノの形を捉えるための線なので
強すぎても弱すぎても
その役割を最適に任せられなくなります。

そして、最初にえんぴつで描いた下描きを
ペン画化するためにあるので
とにかく「なぞること」に集中しています。

この線は「なぞり線」です。
モノの形をなぞる。
下描きをなぞる。

なぞって物体が0か1かを決める、単純な線なので
多くの場合まず一定に表します。

なぞるのが上手ければ、この輪郭線は
効果的に働きます。

なぞるのが苦手ならば、厚塗りなどで
静物デッサンのように
陰影や色彩の表現に特化するといいでしょう。

なぞる作業を省略する絵描きさんもいます。
それほど必須の要素ではないモノです。
漫画っぽい表現のときは
利用すると読み手がわかりやすい線です。


②太らせた強調線

ライオンの顔の周りや、口元などは
太く濃く描いています。

これは「強調する」ために太くしています。

ライオンの顔のアウトラインと輪郭の強調。
ライオンの表情の強調。
それぞれに働きかけます。

また、この線は陰影と輪郭のふたつのはたらきなど
「強い意味を持つ線」なので
太く描いて強調しています。

「役割を多く持つ」場合や
「印象づけたい」場合に
強調線として表します。

強調線は色彩や陰影を表す線なので
絵を描く際にかなりの確率で使用されます。

面を表す端の表現「エッジ」という
部分の場合もあります。
より影の濃い部分ということです。

主要な絵の要素と言えそうです。


③削った細い線

また、翼に植わっている羽を描く際に
ミリペンの太さより細く、力を抜いて描いた細い線を
使っています。

これは「質感を表す線」です。

羽は一枚いちまい、柔らかくて細かい部分です。
これを「輪郭線」と同じ太さで描くと
情報が渋滞して潰れて見えます。

潰れてよくわからないけど、
色がただ濃いように見えてしまいます。

繊細な情報は、繊細に表現します。
絵はやはり記号です。
写真よりも強調したり弱めたりします。

この線もイラストのタッチによっては
省略されて消えます。

「細かな質感を表す」場合に
このような細い線をつかって表されます。

細く書いても馴染まない際は
この「質感の線」は薄い色、
グレーや茶色などで表すのもアリです。

質感の線がない絵は
単調でわかりやすい表現となります。


④重ねた影線

細い線の中でも、
色彩や陰影を表すために
重ねたり並べて表す線があります。

これは主に「面を表現するための線」です。
「影線」と言っていいと思います。

面の流れや、この面は濃い色だと
表現するために重ねます。
隙間の広さで面の角度の鋭さや
陰影・色彩の濃さを表します。

この絵の中では、ライオンのたてがみの
荒々しさや細かい陰影、
全体のまとまりの回り込みを表現しています。

この影線は
影の一番濃いときには
黒ベタとして真っ黒い面に
塗りつぶして表現します。

黒ベタとして表現する場合には
形がわかるように
わざと端のエッジだけ光らせて
白い線の部分として
塗らないようにすることもあります。

影線は色んな色になることもあります。
カラフルなイラストでは
単純に暗くなるのではなく
赤みや青みをもって暗くなることもあります。


ほかの役割の線

ほかの役割の線は、
雰囲気を表す線や
表情の温かさを表す線などがあります。

これらは光の表現や色の表現としてつかうので
色塗りで代わりにして
線としては省略されることも多いです。

漫画などの白黒の世界では
トーンという点の集合になって
現れます。

そのほかにも線は
イラストの雰囲気で消えたり現れたりするので
色んなイラストを見て勉強するといいでしょう。


線画がキレイ描けないときは

先程も輪郭線の部分でふれましたが
線画がキレイに描けなくて
困ってしまうこともあります。

3つの対策があるので
試してみてしっくりくるものや
自分自身でこういう方法で描きたい、と
選んで実践してください。

①線がキレイに描けるように練習する

線画がキレイ描けるようになるまで
頑張って練習する、という方法です。

こちら↑の記事にも描いていますが
紙や画面にペンなどで
とにかく練習の線を描きまくるという練習です。

これをすると、
「絵を描く筋肉」や「描く感覚」を
育てることができます。

ただ、この練習には限界があり
これ以上上手くならない、ということもあります。

その時には次の方法を試します。


②道具の機能でキレイな線を描く

コンパスで円が書けて、
ものさしで直線が引けますね。

このように、デジタルのお絵描きソフトにも
直線や円を描くことができる機能が
あると思います。

また、先ほど少し説明した
トーンの中にも、真っ直ぐな線を
表現できるものがあります。

道具に頼って
キレイな線を描くと
太さも均一になり
フラットな表現ができます。

色々試してみてください。


③省略してしまう

面や影の表現を使って
省略してしまう方法があります。

絵の世界で「厚塗り技法」などと
呼ばれています。

色の違いで線を描かなくても
輪郭がわかるように
塗って描くという方法です。

慣れると線画をみっちり描くより
早くイラストを仕上げられます。


線画の表現の幅でイラスト表現は変えられる

線画をどれだけ描くかで
イラストの表現は変えられます。

線を描かない方法は色彩を豊かに表現します。

線の太さを1~2種類くらいに限定すると
フラットでシンプルな印象になります。

線の太さを3、4種類以上使うと
ディテールの凝った絵になります。


線画は、イラスト表現の助けになります。
どのような絵にどんな線が合うかは
一度試してみてください。

あなたに合う線画を見つけられたら
完成までもう少しです。

楽しく、面白く描いていきましょう。




ご精読ありがとうございました😊

あなたのイラストの線画のお話も聞けると
この記事を読んだ方にわかると思います。
コメントお待ちしております。

お疲れ様でした。
イラストレーターのミトシでした。


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サポート誠にありがとうございます。 これからもよろしくお願いいたします。