葬儀を終えて/アガサ・クリスティー

リチャードは殺されたんじゃなかったの――アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、その遺言公開の席上、末の妹のコーラが口にした言葉。すべてはその一言がきっかけだった。 翌日、コーラが惨殺死体で発見される。要請を受けて調査に乗り出したポアロが一族の葛藤の中に見たものとは?

いやーーーー!!!!めちゃくちゃ面白かった!!!!気持ちよく騙された!!!!

この作品をクリスティの傑作・代表作としてあげている人が多いらしいのもすごく納得。

やっぱり全ての発端となるコーラの「リチャードは殺されたんじゃなかったの?」というセリフの強烈さが凄まじいし、読み終えると全てがこのセリフに収束されることがわかる。本当にキラーフレーズだなあ。すごい。


正直トリックとしてはそこまで複雑なものではなく、大胆なほどシンプルなのに、そのシンプルさをカモフラージュするクリスティの手腕がすごい。

「遺産相続」「大家族」という時点でみんな怪しいし、読み進めていくうちに犯人が絞られていくどころか増えていくので、結局誰が犯人なんだよ!とページをめくる手が止まらない。

結局犯人の思うツボでクリスティの手のひらで転がされていただけなんだけど、謎解き部分の快感は今まで読んできたクリスティの中でもずば抜けていたし(まだあまり作品数読めていないけど…)、鮮やかな手腕にお手上げだった。


クリスティの作品って登場人物がめっちゃ多かったりするから、読んでいてこの人誰?となることがままあり、今回もめっちゃ多かったので最初に登場人物をメモ書きして頭に叩き込んでから読んだ。正解だった。外国人の名前ってただでさえ覚えにくいのに、その時々で呼ばれ方がファーストネームだったり、ファミリーネームだったり、ニックネームだったりするので、ちゃんと覚えないとマジで混乱する。

とはいえ多くのキャラクターを、犯人でない人物に至るまでちゃんとキャラ立てして書き分けているのはすごいなあと思った。


とにかく面白く1日で読み終えてしまった……。また新しいのを買わないと。

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