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法事と行方不明の香川

三連休、だんなの実家がある山形で過ごした。
おじいさんの13回忌で久々の親戚大集合。

義実家での滞在や法事の作法、滅多に会わない親戚の方々との挨拶など、ずいぶん気疲れした。

でも、子供たちにはいろんな人と会える良い機会で、頑張って行って本当によかった。

人見知りがひどい長男が、叔母さんらに話しかけられて、ぽそぽそと返事をしているのを見るたび、来てよかったと思った。

「ちのくん、こっちより静岡のが暑い?」
「……うん」
「やっぱり〜。山形は夏休みよりだいぶ涼しくなってきたよね?」
「……うん」

盛り上がらない会話にヤキモキして、しゃしゃり出たくなってしまうのをグッと我慢。
すると、
「静岡は、まだ35度…とかもあるし……暑い、よ……」

普段の流暢な生意気おしゃべりはどこに置いてきたんだ! というぽそぽそぶりなのだけど、「ああ、自力で他人と話そうとしてるぅ」と母はその程度で感動してしまう。

それに対し、遊んでくれる人を見極めてすぐ懐く次男。
初対面の60歳過ぎのおばさまの背中に勝手に飛びついて、「飛行機〜!」と言いながらおんぶしてもらっていて焦った。
兄にその図太さを半分わけてやってほしい。

「ちょっとぉ! みんなっ! 香川県をさがしてっ!」
法事前夜、お家で宴会をしている最中に次男が叫んだ。

子供らは早々に食べ終わり、隣の部屋で「日本地図パズル」をしていた。
あと一つで完成するところまで来て、香川県が行方不明だと判明したらしい。

「あ〜、香川県かぁ」
「香川、小さいからなぁ」
「どこいっちゃったかねぇ」

酔った大人たちは誰も動きたがらない。
「まあさ、そこまで完成したならさ、完成ってことでいいじゃない」

なあなあで済ませようと大人たちがする中、次男がまた叫んだ。 

「だめ! 香川がなきゃ、世界パズルが完成しないでしょ!!」

日本地図のパズルを「世界パズル」と5歳児が呼ぶこと。
そこに香川が不可欠なこと。
酔った頭にはなんだかとても愉快なことに感じた。

みんなではっはっはと笑った。

その後。
その場で一番おだやかで優しいお兄さんを引き連れて、次男は隣の部屋に戻り、香川を発見し、世界パズルを完成させた。

めでたしめでたし。


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