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『フランシス・ハ』

この映画は一度観たことがあり、cinecaのアートブックを読んでまた観たくなったため鑑賞。


再び観るまでは、『主人公が走りまくる映画』そんな記憶しかなかった。

久々に鑑賞してみると、主人公が走っているのは前半だけだし、モノクロ映画だったということもすっかり忘れていて、自分の記憶力の無さに絶望した。


『フランシス・ハ』は27歳の老け顔だけれども内面は子供っぽい主人公フランシスの転機が描かれている。内面と外面のちぐはぐさにうんざりしているところが面白い。


ダンサーになる夢が閉ざされたり、恋人との別れや親友とのルームシェア解消なんかが、どどどーっと一気にやってくるんだけれども、主人公はけっこう行き当たりばったりで行動、時には見栄をはったりして、現実逃避したりする。

でも、ものすごく悲観することはなく、妥協も最終的には受け入れていく。


現実味が強めに出されているように感じた。夢を追いかけていたのに妥協しなくてはならない、その行き止まり感、悔しさがフランシスの表情から伝わり、『今の私もそんな感じなんだよ〜』と友達のようにおしゃべりしたくなった。


生きていると、現実的に妥協しなくてはどうにもならない時は必ずやってくる。妥協したとしても、チャンスがやってくるまで、フランシスみたいに悲観しすぎず、ぐるぐると行動してみようと思う。(金欠なのに急に二日間だけパリに行っちゃうみたいな突飛な行動含めて)


子供の振付師として一歩進み始めたフランシスのように、当初思い描いていたものとは違う形でチャンスはやってくるかもしれない。それに対し、私のやりたいことではない、とただ突っ撥ねるのではなく、冷静に現実に妥協していきながらチャンスを待つことも悪くないと思えた。

私もまだ先は見えないし、行き当たりばったりな行動も多い。けれども妥協した先のチャンスを待ち、過去の自分とは異なった視点を手に入れた自分を魅力的に脳内で描きながら、今日もやりたいことに向って進んでいこうと思えた。

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