「心地よい違和感」

約一年前、所属する運動部活動のリレー形式の記事を書かせていただきました。その記事を少しリニューアルしながら、書き直してみたので、お暇があるときに読んでください。

こんにちは。今回のコラムを担当させていただきます。コラムを書くことをとても喜ばしく思いながら、長い文章を書くことについてかなり不安もあります。どうか最後までお付き合いください。

題名にもありますが、僕の好きな言葉の一つに”心地よい違和感”という言葉があります。少し聞き慣れないかもしれません。(サカナクションファンの方は知っているかも!?)まず”違和感”と”心地良い”が対応していないのですから、聞き慣れないのは当たり前です。

私にとって心地よい違和感とは、”違和感”=自分のことを導いてくれるものとして捉えることから始まります。

一見しただけでは理解し難い、または受け入り得難いと感じる”違和感”でも、勇気を出して首を突っ込み、関わりを持つことで今までの自分にはできなかった考え方や、視点を得ることができる。自分自身をレベルアップしてくれるもの、レベルアップするきっかけになるもののことを”心地よい違和感”として考えています。

さて、この”心地よい違和感”を獲得する場所や方法についてですが、私はいつも人と会話することや本を読むことといったことを通して、様々な”心地よい違和感”を手にしています。会話をする場所は、公園でも家でもオンラインでも。今はできないですがお酒の席なんか完璧ですね。(笑)

本を読むことも一種の会話だと思っています。その本を書きた人や、本に出てくる人物と物語について、その時代について、事件について話すことができる。

例えば、井上靖の『敦煌』を読むと、中国西域に広がる砂漠で駱駝に乗った商人と会話し、カフカの『変身』を読めば巨大な蟲になったまま、家族と社会を見つめた自分と会話することができる。

そんなことを繰り返し繰り返し、自分の狭い視野をあらぬ方向に広げ、レベルアップをしてきたつもりが、実際のところはそれ以上の後悔に苛まされてきたように思います。ついこの間も人生が変わるかもしれない絶好の機会を逃しました。今思えば、そこには拾い切ることができなかった”心地よい違和感”がたくさんあったのでしょう。もっと早く、もっとたくさん、もっと、もっと…。まさしく後悔先に立たず。

この間、カフカの本を読んだときに印象に残った文書がありました。そこには、生きることがどんなに苦しいもので、無意識のうちにわき道に逸れていき、本当の目的を振り返ることもできないとあります。

私たちがどんなにそれを忘れようと努力しながら前に進んでも、後悔は必ず現れる厄介な存在です。いくら「後悔しないように」と思いながらいても、必ず顔を出してくる。最良だと思っていた選択も、実はわき道でしかなく、あの時こうすればよかった、こっちの選択をすればよかったとなるのです。

でも、私たちは今立っている場所から、それに続く道、レーンをひたすら前に進むことしかできない。後戻りが許されることはありません。皮肉なことに、後悔を感じるまたは、自分にはたくさんの選択肢があったと気付くには、それを通りこしてしまった後のことになるのです。

「君にはたくさんの選択肢がある」と声をかけてくれるのはいつだって、先生や先輩、その辺にいた酔っ払いのおじさんです。年下からは聞いたことがないでしょう。酔っ払いのおじさんは、たくさんの可能性を見過ごしてきたから、選択肢の存在を知っているのです。

では、なぜ先人たち、大人たちは、その見過ごしてきた道や行き止まりを教えてはくれず、反対に無限の可能性を私たちに託すのでしょうか。我々の未来に責任を持ってくれるわけでもないのに。

幸いにも、私の周りには少し悪い酔っ払いたちがいて、”可能性”だけではなく、”限界”があることを教えてくれました。「今の進路を選ばない方がお前のためだ」と本気でいってくれたのは後にも先にもこの人たちしかいません。結局、その人たちのいうことは聞かずに進路選択をしているので、後悔するのはもう少し先になりそうです。


わき道にそれ続け、一年間の浪人生活から、進路選択をし、なんとなく始めた陸上競技を10数年やった過程で気づくことができたことがあります。

それは、

何事かを成し遂げようとして努力することができるのは、努力する環境を整えてくれた他の誰かのおかげだということ。

自分を強く信じることができるのは、自分のことを励まし、褒めてくれていた人のおかげだということ。

努力のためには、他の誰かの努力に依存する必要があること。がむしゃらに自分を信じて、自分との戦いをしているだけではいつか、限界がくるのです。

こんな当たり前のことに気づくのに、とても長い時間とお金がかかったように思います。もっと早く、もっと少なく、もっと強くと考えざるを得ません。

最後に、今まで私を支え続けてきてくれた人に感謝の気持ちを込めて、

ー後悔しない人生を送ります!!ー


ここまで読んでいただきました方に、心から感謝申し上げます。あなたが”心地良い違和感”を見つけることができますように。

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