十角館の殺人 読みました

絢辻行人氏の「十角館の殺人」を読みました。

騙されたっ!そして面白かったです。

サークルの名前と本名が別であることによって、

同一人物を同一人物だと思わせない仕掛けによって、

神の視点である読者すらも騙すような仕掛けになっていました。

また、舞台となった島と本土では、

繋がってはいるものの別々の人物が登場している

というミスリードによって、

まさか名前の違う同一人物がいるとは思いませんでした。

また、パズル的なトリックが売りというよりも、

次は誰が殺されてしまうんだろうという

サスペンスに近いハラハラ感があったため、

僕自身楽しめたのだろうなと思います。

読者視点だと、

1章 なんか怪しい島に来た

2章 本土の方に、殺人事件を仄めかす手紙が来ていてなんだか奇妙だ

3章 島にいる人たちの殺害予告とも取れる現象にハラハラする

というようにだんだん殺される恐怖が増していくようでした。

そして連続殺人であるから、

一人が殺されて、

また一人が殺されて、

と、次は自分なんじゃないかという恐怖で

登場人物それぞれが恐怖に慄く姿に

こちらまでハラハラさせられました。

また、

・本土と島とで一つの事件について、それぞれ行動があること

・犯人や被害者たちの心情の動き

・孤島という世界観の描写

この辺りも含めてとても面白かったです。

ミステリーの中で人の感情が動くような話を、

最近はよく面白いと感じています。

(スイッチとかクビキリサイクルとか)


穂村弘の「短歌という爆弾」でには、

非常事態──心理的に特殊な状況で生み出された言葉には、

思いがけない何かが自然に含まれていることが多い

のようなことが書かれていました。

殺人事件の起きた孤島で閉じ込められているという非常事態だからこそ

人の感情が揺さぶられるというところもあるのだろうと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?