二酸化炭素産出に補助金出したイギリスで行われたCOP26の結末

 出来もしないことをお花畑脳でやればこういうオチになるだろうねぇ。

 COP26は、ちょうど中国で、石炭が大量に不足した時期だ。石炭が不足した理由は洪水や生産調整、環境に配慮したためなどと言われているが、オーストラリア石炭を禁輸したのも理由の一つだ。しかし、世界の石炭の50%は中国で採掘されているからオーストラリアから輸入しても恐らく不足する。石炭不足で電力が停止し、石炭も購入出来ない状況なので、代替燃料として天然ガスや石油を買いあさった訳だ。その煽りで天然ガスの価格が欧州で1.7倍に高騰、ヨーロッパの肥料工場のいくつかは採算が合わないので操業を停止。アメリカではハリケーン被害により肥料工場が停止しており、ただでさえ不足していたが石炭不足により世界的な肥料不足に入った。そしてOPECはCOP26に合わせたかのように石油増産を見送っている。

 ちなみに精錬に電気を使う資源産業(アルミニウム、マグネシウム、シリコン、苛性ソーダなど)は、中国の電気不足の影響で、資源価格に跳ね返っている。肥料不足は食糧価格の高騰をまねく。石炭不足が食糧価格の高騰を招くわけだ。その所為で、いくつもの国がスタグフレーションに入って居る。

 その前に、天然ガスが高騰すると肥料が不足する理由だけまとめる。窒素肥料はアンモニアから作られる。問題は、アンモニアの生成方法にある。現代、アンモニアの生成にはハーバーボッシュ法を用いるが、その原料は窒素と水素である。窒素は大気中から抽出すれば良いが、水素はそう言う訳にはいかない。水素の一般的な抽出法は大きく分けて二つ、水の電気分解で取り出す方法、炭化水素(天然ガスやナフサなど)や石炭を水蒸気改質し、水素と二酸化炭素を抽出する方法である。

 ちなみに電気分解法は3円/KhW未満でないと採算が合わないらしい。この価格を叩き出せるのは、夏場のドイツの太陽光発電ぐらいだろう(EU圏では夏場の電力があまるので逆ザヤ輸出している。フランスでは需要の緩む夏場に原発を整備停止するのでその際、逆ザヤ叩き売り電力で補っているようだ。代わりに需要の増える冬場は原発産の電力を高値で売っているのだろう※)。電気代が安い中国で工業用は8円/KhWだから電気分解法では採算が合わない。そのため現在、水素の製造に天然ガスを利用する方法が一番多い。ただし、中国においては石炭から作る方法が7割ぐらいを占めている。肥料のコストの大半が天然ガスか石炭なので、価格が高騰すると逆ザヤが発生する。この状態で肥料を作ると大損するので工場は製造を止める。

 次世代のクリーン燃料と言われている水素とアンモニアであるが、今の製造方法では製造時に大量の二酸化炭素を発生するのだ。

 副産物の二酸化炭素は液化され産業用やドライアイスに使われて居る。イギリスでは肥料工場停止により、産業用に使う二酸化炭素の60%が失われ、食肉の出荷、食品工場、温室栽培、医療、原子力発電所など多方面に影響が出始めた。

 そのためCOP26の最中にイギリスは補助金を出して二酸化炭素を作らせていたのだ。しかもアメリカの肥料企業に二酸化炭素の60%を頼っていると言うことはイギリスにまともなCO2回収技術が存在しないことも意味している。イギリスは、石炭火力を廃止して、LPGと風力発電に切り替えてきた。しか夏の間まともに風が吹かず電力も不足していた。ちなみに北海、バルト海は風力発電を適当に設置しても採算が合う世界唯一の地域だ。

 世界最高の立地に位置するデンマークでは風力発電がかなり早い段階から普及している。デンマークは1年の300日以上が風の日と言われており、ほぼ1年中風力発電に最適な風(8-10m/s) が吹くのだ。イギリスやドイツが海洋に大量の風力発電を並べられるのもその恩恵だ。その地域ですらこの惨状が起きる。現状、再エネには原発というバックアップ電源が必須なのである。日本の風力発電は津波や台風の対策をしなければならないし、そもそも適切な立地が少ない。適当に設置したらメガソーラーと等しく大量の産業廃棄物をばら撒くだけだ。そして原発は稼働していない。

 この状況で二酸化炭素の削減が出来る分けなかろう。自称環境保護活動家やお偉方がプライベートジェットなどで大量の地球温暖化ガスをばら撒いて集まり、石炭を辞めると他のエネルギー資源が高騰し国民が大量に餓え死にするのを確認しただけで帰るしかないお馬鹿の集まりだったわけだ。

 ちなみに、まともな二酸化炭素削減技術を抱えているのはアメリカ、日本、中国ぐらいだ。ドイツが持っているの削減量を不正する技術だけで他のヨーロッパが持っている技術は原発と風力以外は皆無に近い。ゆえにヨーロッパ諸国の非現実な提案に対し、現状を十分理解して不可能と判断した国は署名していない。それ以外は不正するか守る気がない国だろう。

 そもそもイギリスのCO2削減は中国などにCO2を排出する産業を押しつけることで達成するものだ。

 はなから達成不可能な目標を掲げるだけで、達成する気は皆無なのだ。

※ このロジックを説明するのは面倒なの。以下を参考。

 ドイツ→フランス間は、みかけフランスの方が輸入超過になっているのだが単価が安い。太陽光発電は生産調整が出来ないのだが、ヨーロッパでは太陽光発電の最も発電量の多い夏場の電気消費量自体が少ないので、余った電力をたたき売るしかない。ちなみに余った電力はスイスやフランスの揚水発電が買い取り、必要に応じて高値で売りつけていた気がした。

 一方フランス→ドイツは単価が高くなる訳だ。これは需要の大きい冬場にドイツが不足分を買い付けるからで、ドイツは言い値で買わされる。従って価格は高くなる。

 もう一つは送電網の問題があったはず(この問題は10年ほど前に顕著になっていたものなので、既に解決しているかまでは分からない)。ドイツは南北を縦断する大きな電力網がないので北部の洋上風力に余剰が出ても石炭火力中心の南ドイツに運べない。従って周辺国(オランダとポーランド)に安値で売り飛ばすしかない。一方、南ドイツで電力が不足しても北ドイツから電力が回せないのでフランスやチェコから買い付けるしかない。

 最も高い値段で売りつけられる国は電力自給が出来ないイタリアなのだけど。フランスは、ドイツから安値で再エネを買い取り揚水にため、イタリアに高値で再輸出している可能性がありあそう。




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