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十年大昔の日本人のルーツ

 かねてから日本人のルーツがどこにあるかは論証になっていたが、科学の発展により、古い学説が、科学により全否定されることが続いている。既に化学、物理学、生物学、地学、数学を駆使しないと行けない時代に突入している。

 かつて日本人は古モンゴロイドと新モンゴロイドとの混血であるなどと言う説があったが、古モンゴロイドと新モンゴロイドと言う分類自体が意味を持たないことになっている。モンゴロイドと言う括り以外が無駄になっている。そもそもとして日本人の源流たる縄文人は1万6000年に分離しユーラシア大陸から孤立しており、そもそもモンゴロイドとすらいえない。これらは白人優位主義から生まれた分類で、非科学的であり分類とすら言えない。

 それ以前に混血と言う説自体が疑われていた。今主流の混血説以外に、縄文人の食べ物が変わって弥生人になったという変形説や縄文人は弥生人に駆逐されたという交代説などが存在していた。

 したがって科学的な分類が必要になる。しかし、かつては遺伝子分析が難しかったため寄生虫、ウイルス、血液型などでの分類が試みられていた。そうすると縄文人は太平洋を渡って中南米に到達していたなどと言う謎の説が成立し、NHKが日本人の祖先がブリヤートモンゴルなどと大嘘を流していた。1990年頃には二重構造モデルが提唱された(これもより複雑なデータが出てきて否定されつつある)

 変わりに出てきたのがDNA調査になる。DNA調査が始まったときはサンプルを取るのも、調査にも時間と資金も必要で大規模なDNA調査など出来なかった。そのため最初は遺伝子の数自体が少ないミトコンドリアのDNAを分析するアプローチが取られた。ミトコンドリアは、真核細胞の中に寄生している古生物(細菌)の残骸であり、細胞の核DNAとは別に固有のDNAを持っている。さらに古い遺跡からでてきた人骨などからミトコンドリアは完全な形で採取できる可能性が高い。なぜならミトコンドリアな細胞内部にあり、1つの細胞につき200から2000ほど含まれているので遺伝子が完全な形で残っている確率が高いからだ。こうしてミトコンドリアDNAによる調査が行われたのだ。ただし、ミトコンドリアは母系にのみ受け継がれるため母系のみしか分からない欠点がある。しかし、キリスト教的世界観から言えば全ての人間の母にあたるイブを探すようなもの。これはミトコンドリア・イブプロジェクトなどとよばれ大規模な調査が行われた。同じ遺伝子を引き継いでもDNAは突然変移を起こす。その変移は非可逆に起きるため、変化したタイミングを追いかければ、いつごろ、どこで分離したかと言う大まかな系統樹が作成できる。この系統樹をグループ化して分類したものをハプログループと呼ぶ。

 実際のところミトコンドリア・イブは存在しない。なぜならデニソワ人やネアンデルタール人の混血が確認されているから。

 日本においてもミトコンドリアDNAの大規模調査が行われ、それによりいくつかの仮説が生まれている(ただし今ではほぼ否定されている)

 この分類によれば、ミトコンドリア・ハプログループのうちM7aとN9bが縄文人固有(今の日本人のうち約10%)ではないかと考えられる。ただし、その後の縄文人の実データによりかなり変わった結果が出ている様である。

 ミトコンドリアでは縄文人の特定が難しい。母系は縄文人が日本列島に到着する前に既に、ぐちゃぐちゃになっていた気がする。これはミトコンドリアDNAの突然変異の頻度があまり高く無い所為かと。

 次に調査されたのがY-DNAになる。Y-DNAの特徴は男系にのみ受け継がれる点になる。しかし男性しか持たない遺伝子になるため調査対象は半数になってしまう。また母系と同じ問題がある(遺伝子が父系でしか受け継がれない点)しかし、Y-DNAの調査が先行した理由は、人の核DNAの中で、Y-DNAが一番短いこと、親子であれば同じY-DNAを持つことがあげられる。インド・ヨーロッパ語族は家父長制社会なのでY-DNA調査はインド・ヨーロッパ語族の拡散過程を調べるのに重要になる。東アジアの方は父系と母系が行ったり来たりしているためこの方法で、動を結論づけるのは確実とは言いがたいと考える。

 ちなみにY-DNAの継承が男系継承だと考えるのは辞めるべき。ぶっちゃけヨーロッパの調査では、六代に一人が間男のY-DNAに置き換わっている。女性を後宮に隔離しない限り、どこかで間男に入れ替わっている可能性が否定出来ないと。万世一系とか言ってY-DNAを調べたら実は間男の子孫だったではかっこつかないので冗談でもそんなことを言ってはいけない。

 他にも例えば、李氏朝鮮だと子供が産まれない両班の女性が身元の知れない男に種付けして貰っている記録が残っている(用が済んだらは簀巻きにして捨てる)。

 このY-DNAの調査による結果は以下のようになる。ちなみにY-DNAのハプログループの名称は毎年変わる。

  • D2 32.4% (D1a2に変更された)縄文系

  • O2b1 22% 弥生系

  • O3 19.3% 弥生系もしくは古墳渡来人

  • C1a1 4.7% 縄文系

  • C3 6.1% (C2に変更) 北方系

 これは地域差が大きく、縄文系のY-DNAはアイヌが突出して高く次が沖縄になる。近畿や四国などでは低い。D2とC1a1は他国でほとんど検出されておらず縄文人から検出されていることからほぼ間違い無く縄文人由来だと考えられている。

 しかし、このようなY-DNA調査結果にもかかわらず、学会では何故かミトコンドリアDNAだけで結論を出し続けられていた。Y-DNA研究は専門家より市井の研究が先行したからだろうか?

 全てのDNAを解析して比較するのが核DNA調査になる。機材の進化により比較的簡単に核DNAの調査が行えるようになり、個人でも有料だが割と細かい検査が行える。核DNA調査の問題はデータを取得した後になる。母親と父親のDNAがモザイク状に入れ替わっているから、データの切り方でおかしな結果が出る可能性もある。一つ一つの遺伝子の塊単位で比較するのが良いのだが(ネアンデールタール人との混血に関してはこの手法を行ったらしい)、時間がかかりすぎるので統計学の主成分分析を行った結果が多い。

 この核DNAの調査の結果、現代日本人に含まれる縄文人のDNAの比率は1-2割程度とされている。アイヌは8割程度である。10割ではない。これは続縄文人とオホーツク人が混血したのがアイヌだからだと思われる。

 ここでの最大の問題は、Y-DNAで半分近い縄文系が、全体だと1-2割まで減るのだろう。縄文人が大和朝廷の支配層になっていないと出ない結果だけど、理由は分かっていないらしい。弥生人が母系で、縄文人が父系の可能性もあるからねぇ。

 核DNAの調査は縄文人や弥生人などにも行われ始めているようだが、完全な核DNAを取るのが難しく(一部破損している)、サンプル数が未だ少ない。

 この様に科学の発展共に結果が変化していくため。科学的な日本人ルーツに関する説は10年後は全く違う結果になっている可能性もある。

 しかし、カオスになっている朝鮮半島の結果調査が面白い。縄文人晩期に朝鮮半島南部には縄文人と西遼河人や殷人と思われる遼寧文化人などが入り乱れて住んでいたらしい。

 しかもそれらを掛け合わせると弥生人に近くなる。しかし現代韓国人は中国人によりすぎている。

 あまりにバラツキが大きいので少ないサンプルで判断すると危険なので今後の調査に期待。

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