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俺と車

東京から山梨に移住して変わったことといえば、車に乗るようになったこと。北杜市に住むなら車は必須アイテムだろう。俺の場合、北杜市から甲府のオフィスまで大体30キロの往復になる。加えてコロナ前は週に一度東京に行っていたので移住距離は多い。VJの遠征なども加えればそれはそれは長い距離になる。
初めて買った中古車は5年で20万キロを超えていた。
今月、車検の見積もりではエンジンオイルの漏れや色々なところの交換を求められた。基本的に車に詳しくないので、ディーラーに言われるがままだと100万円を超えそうだった。

どうしましょ。

走り出しの調子も悪い。
以前交換したスパークプラグをまた交換することになる。
多分また直しながら乗ることもできるだろう。
でも、いきなり動かなくなることが怖い。
オフィスに行けないことになってもテレワークで済むからいいけど、VJの現場は機材もあるしそうはいかない。そんなことを想像してたら怖くなってきて、新しい車に変えることにした。

さあ、どんな車に乗ろうか。
以前から憧れてるJEEPにしようか。
マツダもトヨタもいいなぁとか。
やっぱり四駆じゃないとダメだろうとか。
スペックも気になる。
車検直前になってバタバタと車を見る。

車を選ぶってすごく自分の個性が出ると思う。
服を選ぶのと一緒だ。
なんでも良いって思ってる人も多いと思うし、動けば実際なんでも良い。
でも、カッコいい車に乗りたいとか、値段との兼ね合いとか、壊れない方がいいとか、高い車に乗れば仕事頑張るようになるかもとか、新車がいいとか、中古車がいいとか、悩み始めるとキリがない。
そして、コロナの影響もあり、車を買うにはとても難しい時期でもある。
じゃあやっぱり車検通りして、色々直して落ち着くまで今の車に乗ろうかとか。

車を選ぶということは、自分を見つめ直すことと、将来設計をどうするか、人生の選択に等しい。

俺は何を大事にする人間なんだ。
何を選択するんだ。

カッコいい車に乗ってカッコよく生きたい。
いやいや、身の丈にあった車が良いでしょ。
ここはスペック重視の車にするか、やっぱり古くてもこだわりのある車にしよか、、
などなど、、、

そんなことをグダグダ考えてるうちに車検の期日と誕生日を迎えた。

とりあえず車検は近所のスタンドで格安で行うことができた。
スタンドのお兄さんはすごく丁寧で俺の悩みを真摯に聴いてくれた。それならここをこんな感じに直しておきましょうと。
いずれにせよ買い替えを選択するための車検を通すことができた。
とりあえずよかた。。

じゃあ新しい車はどうするか。
とりあえず新車はすぐに手に入らない。
でも今の車がいつまた調子が悪くなるか分からない。
そんなことを考えながらカーセンサーで中古車を探していた。

これ良さそう。
そんな車を見つけたのだ。
それは今乗ってる車と同じ車種。
安心安全の選択だ。

早速、都内のディーラーに在庫確認のメールをした
在庫はあるそうだ。
早速見に行けるか、メールくれた担当者に電話してみた。
その担当者は、とてつもないどもりで、
「い、い、い、い、い、いつでも、い、い、いいいいですよ!」と言っていた。
大丈夫かこの人は、、と思ったが、俺はとりあえず見に行ったのだ。

電話でどもりまくるその担当者は、電話じゃなくてもどもりまくっていた。
「宮沢さま、きょきょ今日は、あ、あ、あり、あり、あり、ありありがとうごます!」と。

そして、実際見させてもらう。
その車は状態も良く、あと見た目もいい。
特に色が良かった。一言で言えば一目惚れだ。
これ良いかもなぁ、と、そう思いながら、今乗ってる車の下取り見積もりをお願いしたく、担当者に車検証を手渡した。

「い、い、い、い、以前も、と、と、とっとと都内で購入されたんですね?」
相変わらずのどもりで話しをしてたら、その担当者は、
「あ!」と驚いた。
なんと俺が手渡した車検証の書類にそのどもり担当者の名刺が入っていたのだ。
最初、訳がわからなかった。
え、マジック??かとも思った。

そう、今乗ってる車を買ったのは、この担当者から買ったものだった。
足立区の店舗からここに転勤してきたらしい。
こんな偶然あるんだろうか。
カーセンサーでたまたま見つけた車だよ。
6年前のことだよ。

そして、俺はそのどもりまくる彼のことを思い出した。
6年前、初めての車購入がこの担当者で大丈夫だろうか。。と、6年前も同じことを思っていたことに。

「すごい偶然ですね。。こんなことあります??」なんて話を互いにした。

これは運命だろう。
俺はこの車を買うことに決めた。
もちろん、ゴリゴリのローンで。

納車は5月に出来るそうだ。
っていうかすごく早くないか。
もちろん、すごい速さで俺ももろもろの手続きをしなければならない。
「別に6月でも良いんですけど、、、」
とその担当者に伝えたところ、
「こ、こ、こ、こっここー!こ、これは本当に宮沢さんだから、言うんですが営業所の売上的な事情があって。。
どど、ど、ど、ど、ど、どうしても今月中納車しないと、本当に、ま、ま、ま、まずいんです」と。。

本当まずいってどんなことなんだろうと思ったが、
「こ、こ、こ、こ、こっここー!こ、今月このギリギリのタイミングに宮沢さんのような人と再び出会えたことは、ほ、ほ、ほ、ほ、ほっほほー!!ほんと奇跡だと思うんです!」
と、超絶どもりながら言うもんだから、きっとそう言ってるんだろうって思いながら、聞いててて、もうそれは協力してあげるしかないなと思った。

そう、俺はこうして今日車を買ったのだ。

どんな車にするか、悩みに悩んで出した結論は、自分の為ではなく、どもり担当者と俺がもたらした運命による選択だった。

よ、よ、よ、よ、よかった。よね?

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