見出し画像

土曜日の人


よく行く居酒屋がある。


その居酒屋は常連客が多く、入店すると見たことある顔がちらほら…。おじさんばっかりいる。


おじさん達には良くしてもらっているが、
私は正直、顔の見分けがついてない。

あの人はこの前ビールをご馳走してくれたおじさんかなーと思ってても、本当はフルーツ大福をくれたおじさんで、ビールをご馳走してくれたおじさんはたった今来たあの人だった!なんて事がよくある。

別の日には、
いつもスーツ姿のおじさんが今日は私服だ!と思ってたら、数分後、スーツ姿のおじさんがいつもどおりにスーツを着て着席した。

こんな感じで「おじさん神経衰弱」をし、自分の記憶力の無さを実感している。


「おじさん神経衰弱」よりも楽しいのが、「おじさんの話の盗み聞き」だ。愚痴やしょうもないギャグが多めだが、それよりも、辻褄の合わない話になんとも言えない笑いが込み上げてくる。

辻褄の会わない話とは、
「私達は毎週土曜日に来るんですよ」と周りに話しかける2人組のおじさんがいる。しかし、来ている今日は金曜日。
にやっと笑いそうになるのを堪えて、心の中でその2人組を【土曜日の人】と名付けた。

次の週の木曜日に、その居酒屋の前を通りかかり、チラッと店内を覗くと、楽しそうに笑う【土曜日の人】が居た。
私はハハっと笑い、店の前を通り、家に着いた。

さっき見た【土曜日の人】を思い出し、楽しそうだったなぁと晩酌する。

【土曜日の人】は「おじさん神経衰弱」で間違えない気がする。

今日もいい一日だったな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?