予定管理のはなし つづきの続き

PalmOSデバイスにキーボードがくっつけば最高なのに・・・という幻想を抱いてしまった私。
望みはSONYに託されました。SONYは独自規格で拡張するのが大好きなメーカーです。
当然CLIEでもその性質はいかんなく発揮され、カメラをつけてみたり、FM音源を搭載させてみたり、独自開発CPUを積んでみたりやりたい放題です。
キーボード搭載モデルが登場するのもある意味必然と言えました。

SONY CLIE NX73V

ガラケー?

今までは打って変わったスタイルで登場したのはNX73V、見た通り真ん中で半分に折りたたむことができる、ガラケースタイルのCLIEです。
SONYらしい遊び心が満載で、中心部分を回すとカメラが登場したり、

回転してカメラが出てくる!背面に回すこともできるぞ。

液晶をぐるっと回すとスマホスタイルになったり、

こうなって・・・
こうなるのだ!アンビリーバブル!

中々面白い機種であるNX73Vの良くも悪くも特徴的な点をまとめました。

1.マジでデカい。

NX73V単体の写真で見ると違和感ありませんが、ガラケーフォルムから想像できないほどデカいです。人前で取り出すことを若干躊躇するレベルに達しています。

iPad miniとの比較。遠近法かな?

当然デカい分重量も増しています。本体のみで235gあり、開いた状態では重心が分散するのでしっかり握っていないと奥に倒れます。基本的には両手でホールドし、親指でキーパッドを触る設計なのだと思いますが、それでももう少し軽ければ・・・という感は否めません。

2.カメラは結構おもしろい

おまけ程度に考えられるカメラですが、くるくる回して映す場所を変えられるのは結構楽しいです。31万画素しかなくパンフォーカスですので精細な写真とは程遠いですが、令和現在ではトイカメラ的な面白さを感じ取ることができます。

3.キーパッドは押しにくい

アイデンティティを否定する形になりますが、控えめに言って押しにくいです。ガラケーのキーパッドをさらに極小サイズにしたようなボタンが整然と並んでおり、タッチタイプ(と言うのか?)はほぼ不可能で、盤面を見ながらポチポチやる必要があります。私はGraffitiで書くのとキーパッドで入力するのが同じくらいのスピードでした。手書きとキー入力が同じ速度というのはやっぱり少し物足りません。

4.タッチパネルの反応が悪い

これはCLIEの持病と言えるようですが、指やスタイラスを画面にそっと置くだけでは反応しません。静電容量方式ではなく感圧式なので仕方ない面もありますが、それにしたってムギュっとやらないと反応しないのは困りものです。腱鞘炎から逃れたい私はこれが一番ストレスでした。

SONY CLIE TG50

完璧にサイバー。
サイドショットもサイバー。
NX73Vと比較。開くとちょうど倍くらいのサイズになる。

そう!こういうことなんだよ!と製品写真を見た私は思わず声が出てしまったというのは嘘ですが、ヘアライン仕上げの表面、「全部ボタンにしてやりました」と言わんばかりのキーパッド。もはやスタイラスで操作することは古いと、これからはキーで操作するPDAだと、SONY開発陣のそんな声が聞こえてくるようです。
大きさもNG73Vと比較して大分常識的なサイズになりました。重量もグッと軽くなって184gとなっています。持った感じはiPhoneなどと殆ど同じで、持ち続けていても手の負担にはなりません。
ビジネス向けで色褪せることのない本体デザインも魅力です。
正直これはキタなと思いました。長い長い旅路もようやく目的地に着いた。そう感じました。しかし電源を入れて使ってみた私は1分経たずに打ちのめされることになります。それは何故か。

グミみてえなボタン

この機種、とにかくキーパッドの押し心地が最悪です。
NX73Vも褒められたものではなかったですが、押し心地に関して言えば問題ありませんでした。ガラケーと同じ、押し込んだときに”プチッ”という、確かに入力したというフィードバックがありました。
TG50のボタンを押し込んだ時は”グニュ”って感じです。グミです。それでいてかなり固く、パッドのど真ん中を押し込まないと判定されません。ハードグミです。ですので指の爪を使って狙いすまして押していくことになりますが、残念ながら私は押していくことになりませんでした。

ボタンの押し心地だけが不満であり、他部分はとても良い機種なのですが、情報端末は情報を入れるものであり、入力装置がマズいと全部マズいことになります。

SONY CLIE UX50

クラムシェル型。
とてつもなく軽く175gしかない。

最後に紹介するのはCLIE UX50です。
こちらもSONYの面目躍如といったところで、PDAとしては異例のクラムシェル型の筐体を採用しています。
とは言え手のひらサイズであるので、さながらノートPCのミニチュアのような雰囲気です。キー数はTG50とほぼ同じですが、キーサイズ、ピッチが改良され、操作感がかなり向上しています。
こちらもギミックが搭載され、液晶を回転させてタブレットスタイルに変形可能です。

こうなって
こうなるぞ!非常に小型な本体だ

キーボード付きPlamOS端末として、個人的にはこのUX50が最も気に入っています。CLIEとしても最後期機種であるので、それまでのノウハウが詰め込まれた非常に完成度の高いモデルであり、カメラ、WiFi、Bluetoothまでをも搭載した、もはや電話ができないスマートフォンのような存在です。
WiFiを搭載していることから、有志が開発したアプリを使ってWordPress記事の更新までもできてしまいます。
私自身ブログの更新や、日々の記録用の写真撮影、手持ちのCDやゲームソフトの管理など、予定管理以外にも幅広い用途で活用していました。
最強に思えるUX50、確かにCLIEとしてこれ以上求めるのが難しいほど成熟し、洗練された製品です。筐体デザインもさることながら、非常に小さい本体サイズのおかげでどこでも溶け込み、現代でも違和感のない存在です。

ただ、なまじWiFiやBluetoothに対応し、”インターネット時代” を見据えた製品であるが故に置いていかれてしまった仕様も存在します。
WiFiはIEEE802.11b規格にしか対応しておらず、暗号化方式もWEPのみです。Bluetoothも初期プロコトルにしか対応していないので、令和現在手に入る機器、環境と接続することはほぼ不可能です。

インターネット登場後、機器はスタンドアロンで動作するものから、互いに接続しあって協力動作することに価値を置くよう変化していきました。
この変化の過渡期に発売されたデバイスたちは、残念ながら時代の波に流されてしまい、今では使い物にならないものが多くあります。UX50の通信機能部もそれに該当しています。

ただ人間不思議なもので、”存在しない” 機能であれば気にならないのに ”あるんだけど使えない" 状況はストレスを感じます。だましだましUX50を使っていた私でしたが、ある決断に迫られます。
「通信するんならAndroidかiOS使ったほうがよくない?」
ファッショントレンドは時代によって一周回ると聞きますが、デバイスもそうなのかもしれません。

疲れた

とまぁPDA遍歴を紹介してきました。
実は私が持っている機種を紹介する行為は初めてのことで、ついつい写真を多用してしまいましたが大変疲れたし面倒でしたのでしばらくはテキストだけの更新にしようと思います。
PDA遍歴はこれからAndroidの時代へと続きますが、それはまた機会があれば紹介したいと思います。

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