ビジネスメールのはなし

文章を書く時一人称視点になることが多く、結果口語体になりがちなのですが、なーんか馴れ馴れしい感じになってしまいがちなので、そういうのがダメなケースでは割と困りがちだと言えます。

例えば無理難題を押し付けないといけないビジネスメールにて

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ていうかホントに申し訳ないんですが、これ明日までになんとかして欲しいんですよね。いや、わかります。忙しいの知ってます。その上でなんとかお願いしたいんです。あ、お金の話は僕わからないので後日営業までお願いしますね。
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などと書いたら返信貰えないだろうし上司に連絡いくだろうし後々5年間は酒の席で肴にされがちです。なので皆さんは頭に浮かんだ上の文章を、

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お忙しい折大変恐れ入ります。いつもお世話になっております。ミタムラです。
掲題の件につきまして、お客様との折衝を続けておりますが、やはり明日までに何とかされたいということでございまして、
本プロジェクトにて無理をお願いしている最中、誠に恐縮でございますが、なんとかリソースの確保をお願いしたく、メールさせていただきました。
なお、発生する費用につきましては別途弊社の担当営業までお問合せくださいませ。お手間を取らせてしまい申し訳ありません。
何卒よろしくお願いいたします。
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という ”お願いベース” と言われる文体に変換されていることと思います。
言ってる内容は同じなのですが、丁寧に言い過ぎて長くなり、何が言いたいんだかよくわからないし失礼なのかどうなのかもボンヤリしてくるビジネスメールあるあるだと思います。何も考えずに指先だけでメールを書くとこういう感じに仕上がってしまいがちなのですが、少し改善案を考えてみます。
以下ではどうでしょうか。

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いつもお世話になっております。
本件折衝を続けてまいりましたが、明日には完了したいという着地になってしまいました。私どもの力不足で大変申し訳ありません。
つきましては優先順位を変更し、本件最優先での進行をお願い申し上げます。
費用は別途お支払いさせていただきますので、弊社営業○○から連絡させていただきます。
何卒よろしくお願いいたします。
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ほとんど同じことを言っていますが、受ける印象はかなり変わります。

1.因果関係を認めて謝る
「私どもの力不足で大変申し訳ありません。」と言葉で書くことにより、物事の事実関係に輪郭線ができます。
「客が勝手を言っててすみません」では非常にボヤッとして感情の向け先がなくなってしまいますが、
「状況をコントロールできずにすみません」だと、「頑張ってくれたんだろうな。じゃあまあしょうがないか」と(実際頑張ったかどうかは置いといて)思えます。
ちなみにこの「私どもの力不足で大変申し訳ありません。」をメールから省くと、それだけで若干高圧的な印象になります。相変わらず日本語って難しいですね。

2.やってほしいことをハッキリ言う
「優先順位を変更し、本件最優先での進行をお願い」と明示することにより、なにをさておいてもコレをやってくれ。という意思が伝わります。改善前のメール案だと、そこまで緊急度が伝わらない上、どこか他人ごと感が漂ってしまい、「そんなに急ぎとは思わなかった」事故を招く可能性があります。

3.無理を言ってるんだからこっちでできることはやります。
「営業担当に連絡を下さい」というのと、「弊社営業から連絡を入れます」では天地の差があります。後者は要するに放っておいていいのであり、「作業に集中してね」という意思を後押しする表現になっています。
改善前のメール案では、「無理をお願いした上にお手間を取らせるんですか」などと絶対零度の返信が来る可能性もゼロではありません。

なんだかまた結局よく分からない話になってしまいましたが、
私は本文が「AZS ※1」だけのメールを仕事で受け取ったこともあるのでまぁそんなに考えなくてもいいのかもしれません。

※1
AZS = あざす(ありがとう)の意

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