ブルーハーツのはなし
私の世代はブルーハーツドンピシャというには少し若いのですが、それでも中学生、高校生の時分には男子ほぼみんな通ったんじゃないかというほど、人気がありました。
私も多分に漏れずTRAIN-TRAINから入り、リンダリンダ、人にやさしくなど、みんなが聴いていてみんながイイと言うようなものをカセットに落として聴いていました。当時は歌詞の重さ、深さなどはわかりようもなく、ただボーカルの声やリズムの良さ、歯切れのいいベースラインなど、音の鳴り方が好きで聴いてたというのが正しいです。
その当時友人たちがさかんに、
「ブルーハーツは歌が下手」
と言っていました。20年以上経った今でも覚えているので、相当聞いた言葉だったと思います。
「僕ブルーハーツを聴いてるんだ。」
と言うとほぼ必ずそういう話になりました。幼い学生のコミュニティですので、
「下手って、どこが?」と思っても聞けない雰囲気があり、
「うーん、でも、好きだな。」と返すのがやっとだったと思います。
ハイロウズがアルバム”angel beetle”をリリースするにあたってのインタビュー動画を今日Youtubeで見て、やっぱり甲本ヒロトの声はいいよなぁ。好きだなぁ。と思ったわけですが、そこに
「でも歌が下手だよね」
という言葉がどうしても浮かんできます。自分では全く思っていないのに、呪いのように消し去ることができないのです。
自分が好きだと思うことに対してネガティブな言葉が貼られていて、剥がすことができない。心地よい音楽なのにどうやってもノイズが取れない。
「好きだ。」
と言えなくて
「でも、好きだ。」
としか言えない。その ”でも” は私のものじゃない。植え付けられたものだと感じますが、消すことができないのは自分の中にそういう気持ちがゼロでは無いからではないのか。そんな風に考えだしたら純粋に楽しんでいるとは言えないでしょう。
だいたい、
「歌が下手だよね。」
の後には何を言うつもりなんでしょう。
「だから聴く価値ないよ。」
とは思っていないんでしょう。流行ってましたから。
「俺のほうが上手いよ。」
だったら是非聴かせて欲しいですがたぶんそういう事でもなくて、平々凡々な人間が非凡な才能に接するときに無意識にバランスをとってるとか、
全然つまらねえ文章しか書けない人間が作家の本を取り上げて ”てにをは” が出来てないからこいつは2流だと断じて自我を保つようなもんで、恐らくどんな業界やジャンルでもこういうのはあるんだろうと思います。
自分一人で思ってるだけなら何の問題もないですが、あまり吹聴すると私のように呪いに掛かってしまう人間が出てしまいますので注意されたいですね。
何の話だったんでしょう。
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