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私の好きなコメダメニュー誰も知らない

名古屋発祥の喫茶店「コメダ珈琲店」の知名度といえばもう全国区だと思う。
SNSでは、サイズが写真と違ってデカすぎる逆写真詐欺を犯す神的お店として度々話題になっている。
一度行ってみたい、何度も行きたいという人も多いはずの名店だけど、なんせ私はコメダと同じ名古屋の者なので?それはもう頻繁に利用しているわけさ?
数多なメニューを食べてきた私となればコメダ一押し商品は「シロノワール〜!」などと誰しもわかりきってて参考にならないことなんか言わない。
コメダに詳しくない人なら「えー知らなかったー!」と尊敬の眼差しを、そしてコメダ通には「センスいいね!」なんて一目置かれるマイナーメニューを紹介できるわけだが、行くと必ず注文する最推しメニューは名古屋人にさえ存在を知られていない。
それって最もクールじゃん?と思いたいところだけど、ここまで知られてないのは困るのだ、なんせ共感もされないし自分のセンスの良さを褒められることもない、なんなら白い目で見られる。
こんなに美味しいのにどうして…。そんな話。

夫とコメダでモーニングしている時だった。
巨体の夫はゆで卵の表面をぼこぼこに抉りながらちまちまと皮を剥いていた。
私はいつもと同じ、あの最愛のドリンクを注文してうまうまにこにこしていたところ、巨体の夫が「ずっと思ってたけど、それ飲んでる人他で見たことないよ」と言い出した。
え、もしかしてこれ不人気メニューなん…?夫の言うことを鵜呑みにするところだったが、彼は友人が極めて少ないので一緒にコメダに行った人数なんてたかが知れている。多分二人ほどとしか行ったことないのに「皆飲んでないよ〜」とか言ってるわけだ。なめたことすんじゃねえ!あと卵キレイに剥け。
私は気に留めず適当に返事しておいた。夫はズタボロのゆで卵を食べていた。

ちなみに私は友人が極めて少ない夫より友人がいない。
数少ない友人の一人に、お互いの家が近い人がいる。見惚れるほどツラが良い友人だけど、食事の日時を決めている時、彼女の仕事終わりの夜を提案したら「じゃあその日の朝7時コメダで」と言うような謎の美女だ。すごく良いでしょ。
彼女とコメダに行った時ももちろん私はいつものドリンクを頼んだ。どうやら彼女もそのメニューの存在を知らなかったようで、私はこれは布教のチャンスだ!と目を光らせた。
一口分けて飲んでもらった。飲む前も飲んだ後も彼女は無表情だった。

後日、また彼女とコメダに行った時も私は懲りずに同じものを頼んだ。
運ばれてきたそれを見て私はウッキウキで、この前みたいに味よりも、まず見た目から楽しんでもらった方が良いのではないか?と企てていた。私は布教活動をまだ諦めていなかった!
こいつまたかといった目を向けられてもふふん今に見ておけとスプーンを持つ。まずティーカップに敷かれた小豆カラーの紙がおしゃれ。丸い形のソーサーとカップに反して正方形のフォルム。よう知らんけどこれがファッションでいう抜け感ってやつっしょ〜?そして生地が和紙っぽいところもいい。和を取り入れると一気におしゃれ度がアップすると思うんだよね、知らんけど。
映えで十分魅了できたところで、肝心のドリンクだ。ミルクティーの底に溜まった小豆をゆっくり掬い上げて「ほーらこれこれ、たまらなく美味しそうでしょ〜?」と見せびらかした。
「ウワァ…」
あちょっと思ってた反応と違う。すぐに心が折れた。
友人はミルクティーの底から小豆がどろっと湧いて出るような光景がよほど衝撃的だったようで、その様子を撮影した動画をインスタのストーリーにあげていた。それを見せてもらったが、自分のノリノリな「ウェーイw」がひどく気持ち悪かったことだけ覚えてる。

最後は一人でコメダに行った時のこと。
次の仕事までの空き時間にと、普段行かない店舗へ行った。ホールには紳士な佇まいで、それでいてハキハキと案内をしてくれる50代くらいの男性スタッフがいた。
私は注文するものはすでに決まっていても一応メニュー表に目を通し、紳士スタッフを呼ぶ。にこやかに彼は来てくれた。「お伺いします」とても落ち着く接客で好きだ。
「小豆小町の桜、ホットでお願いします」
「は?」
え?
私なんか変なこと言った?もう一度メニューを言っても彼は怪訝な顔で首を傾げている。名前間違えたかと焦ってメニュー表を確認すると彼も一緒に覗き込んだ。そして「はあ…かしこまりました…?」とあやふやな感じで注文を取ってくれた。
本当にかしこまれたのかどうかかなり怪しい。しかもこれまで通る声で仕事をしていた彼がキッチンへ向かった途端に静かになるので余計に心配になった。何か悪いことをした気分だった。さりげなくキッチンの方へ目をやった。
ス、スタッフ全員大慌てじゃないのーーーー
3人くらいであわあわしてた。おそらく「小豆小町の桜のホットって言われたんだけどなにそれ!?」「なにそれ!?」「なにそれ!?」みたいな会話がされたんじゃないかと思う。
客だけじゃなくスタッフにも忘れ去られるほど注文されないのか小豆小町の桜のホット。なんで常設メニューなんだ。もしかして私がこの子を支えてる?だったらあたしもっと頑張るから…。
(もちろんコメダスタッフの批判をしてるわけではないです。いただいた小豆小町の桜ホットはしっかり美味しかった!)

夫の出来事から3年ほど経つが、小豆小町シリーズを知っている人とはまだ出会っていない。
シリーズにはミルクティー、ミルク、コーヒーの3種類ある。どれも中にコメダのあんこがたっぷりと入っていて美味しいのでぜひ飲んでみてほしい。

そしてもし、このシリーズが好きだという仲間がいらっしゃったらちょっとききたいんですが、
モーニングトーストのトッピングを何も考えずあんこにして「あんこまみれになっちゃったwww」てなったことってないですか?私めっちゃやるんだけど〜!^^

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