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【週末暇?】元・殿様の家 雨の風情と毛利邸

梅雨らしい雨の週末である。こんな日はお出かけには不向き?

いやいやそんなことはない、雨なら雨なりにその風情を堪能しようではないか。ということで今回訪れたのは・・・

山口県防府市の毛利邸である。

ここはかつての長州藩の藩主「毛利家」の本邸である。

毛利家とは戦国時代は今の山口県・広島県・島根県・岡山県・鳥取県・兵庫県の一部・北九州の一部を治める西日本最大の勢力だったが、関ヶ原の戦いで徳川の軍勢に敗れ、領地を長門・周防の2国まで減らされてしまった。これが長州藩であり今の山口県である。

江戸時代には藩主であったが、幕末・明治維新後は新たに創設された華族制度によって最高位の公爵の地位を与えられた。

そんな元お殿様の邸宅として明治維新後に建造されたのがこの毛利邸である。なので江戸時代からある建物ではない、造りこそ書院造(しょいんづくり)を継承しているが近代建築である。建設が決まったのは明治25年(1892年)であるが、日清戦争・日露戦争によって着工が遅れ、建設が始まったのは大正元年(1912年)である。

基本は和風な装いだが、随所に近代の様相が取り入れられ、なんとも趣のある和洋折衷な造りである。

近代建築物なので電気による照明である。大正モダン・・・

格天井(ごうてんじょう)にマッチしたこの照明のセンスたるや・・・

客間は一の間、二の間、三の間と同じ拵えの照明であるが部屋の格が下がるにつれ電球の数が少なくなる。招かれる客人の格を表しているともいえる。

電気なので当然スイッチもある。なんとも趣のあるトグルスイッチ

ここは客間ではない、照明が1つだからといって格下の部屋という訳ではない。

ここは大正天皇や昭和天皇もお泊りになられたそうな・・・

奥浴室・大理石で作られた浴槽、驚く事に当時から給湯設備が完備されており、蛇口をひねるとお湯が出たという・・・さすが元お殿様の邸宅

脱衣所には洗面台もある。

そして浴室に隣接した化粧の間、なんともハイカラなフットレスト付の椅子である。

夫人はここでお化粧をされたのであろう・・・この小ぢんまりとした狭さがまた良い。

檜角材を贅沢に使用した階段

見様によって和とも洋とも取れる絶妙さ

違い棚の床の間、上段之間、書斎、一つの和の空間に高低さのある幾何学的なレイアウト。梁や柱、畳の縁、障子の格子などが織り成すパースは見様によっては何とも言えぬサイバーさを感じるのは私だけであろうか・・・

二階から庭園を一望できる広縁、外の明るさ鮮やかさと室内の落ち着いた色合いと仄暗さが双方を際立たせる。

ここは何の部屋だろうか・・・室内、しかも二階の部屋だが水道がある。茶室か何かだろうか・・・

そんな部屋の片隅にぽつんと置かれた1脚の椅子。雨の風景と相まって何とも言えぬ侘び寂びを感じる。

何気ない廊下の角から見える風景もいい。

雨ではあるが庭園へ出てみよう。奥に見える屋敷が先ほどの毛利邸である。

雨で霞んだ遠景と雨の緑の鮮やかさ

春の桜に秋の紅葉と四季折々の色と同様に、晴れの日もいいが雨は雨でまた乙なもの。

あと、写真撮影はできないが毛利邸内には毛利博物館があり、鎧兜や刀剣、茶器や掛け軸、巻物など毛利家ゆかりの品々が展示されている。こちらも毛利家の歴史や衰勢を垣間見れる展示で見応えがある。

●毛利氏庭園(国指定名勝)大人400円 小中学生200円

●旧毛利家本邸(重要文化財)・毛利博物館 大人700円 小中学生350円

●庭園・本邸・博物館共通券 大人1000円 小中学生500円

●博物館は12月22日~31日休館 庭園は年中無休

●開館時間9:00~17:00(入館は16:30まで)


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