ミスミアヤカ

歌人・詩人/AWAP公式ブロガー/徳島文学協会・「七曜」同人

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最近の記事

気づけば終わる。それが2月。

雨降る夜、とても冷静な気持ちで2月を終わらせようとしています。春なんて本当に来るのかなぁと思わせる寒さのなか、久しぶりにnoteを開いてみました。 思えば、2月は色んなことがありました。タスキを繋ぐリレーマラソンに参加してみたり、私にとって神に等しい存在の人物に会いに行ったり。特に強く心に残った出来事はなに?と問われたら「ぜんぶ」と答えてしまいそうなほど激動の1ヶ月でした(いまさっき食べた湯豆腐もとてもとても美味しかった)。 ひとりで居たいなぁと思う時があります。もちろん友

    • 短歌連作「天使にはなれそうにない」

      天使にはなれそうにない羽ふたつ清く正しく美しく逝け 天使にはなれそうにない初恋は空き教室に隠しておいたの 天使にはなれそうにない十四歳失恋ごときで神を呪った 天使にはなれそうにない賛美歌はフリータイムで完コピしました 天使にはなれそうにない昼休み水平リーベ「愛って、何味」 天使にはなれそうにない水面にて昨日は月とキスをしました 天使にはなれそうにないあの人の誘いをわざと断る口実 天使にはなれそうにない午前四時お迎えならば明日にしてくれ 天使にはなれそうにない天

      • 短歌連作50首「まぼろしのあさ」

        まぼろしのあさ もしもし、春。あなたは微熱。ゆるゆるとあたしの柔いところを蝕む。 鳴る電話鳴らない電話ぼくはまだ天使になりきれないねアオハル 恋をするつもりはないです人差し指ちょんと触れたらどきりとするけど 「今だけは」とかいうロマンチック文法中学時代に赤ペン引いたの 丁寧に名前を書くとき指先がちょっと震える励ましてほしい 指先の温度を予想し夜が明ける雨ばっかりがつめたい冷たい まっすぐにまっすぐにいけ言葉などのこすな自分に言い聞かせ、朝 ファミレスで好きと言

        • 短歌連作「愛を述べるには早すぎた」

          放課後に風になります水曜日誰も彼もが振り向く去り方 片思いとかじゃ全然ないけれどシャープペンシル色違いにする 日曜日雨ならもっと強く降れ気付かないふりしたい感情 強いひとがすきってあなたが言ったからボクシングジムに二度電話した ブックカバー「M」の刺繍に揺らぐとき初恋ごっこの記憶が波打つ あと二時間後には生徒の仮面をつける僕らの儀式を鳥だけが知る あの人が遠くの船を指さすときすべてを遮る蝶になれたら 道端であなたの羽を拾う日の検索履歴は「天使 なり方」 道筋に

        気づけば終わる。それが2月。

          ラジオ【詩】

          ラジオ あたしと文化をつなげるアイテム 教室がiPodやウォークマンで囲まれるなか あたしはひとりラジオを抱えていました 乾電池2個分の魂にあたしは救われた 時報 ジングル 好きな声 くだらない話 真剣な悩み事 新曲の宇宙初フルOA 隣の席の人の話の内容が理解できなくても ここで文化を手に入れられるからここに居た 教室の真ん中で眠るふりをする休み時間 イヤホンが世界からあたしに蓋をしてくれる アナウンサーがリスナーのラジオネームにツッコミを入れるのが可笑しくて思わず笑ってしま

          ラジオ【詩】

          短歌連作「映画」

          緩やかに現実世界を暗くする映画のなかに溶けていきたい キャラメルが熱で溶けてく夕暮れの西日のように淡く、とろけて 映画後のフライドチキンが大好きで冬は毎年祖父にねだった 制服のまんま飛び込む映画館誰にも何にも邪魔されたくない 端っこでクルクル回るお菓子たちでっかいマシュマロ今日しか買えない 高くなる映画の料金切なくてわたしは今も少女なのにさ 20代過ぎても映画の終盤でミラクルライトを振ってたかった さよならを言う前日に見た映画笑っちまうほどつまらなかった 日常

          短歌連作「映画」

          20時に眠る街、徳島【エッセイ】

          20時。私にとっては、夕飯を終えて眠る準備を始める時間です。以前も、私の住む街はその位の時間になると街頭と星のみが輝くということを述べました。小さい頃からその概念はあまり変わっていないし、20時前に仕事が終わったときには「真っ暗な道を運転するのヤダな」と思います。 社会人になって1年が経ったけど、相変わらず1日の過ぎる時間は猛烈に早くて、「あれ、今出社したのにもう夜やん」と思う時もあります。そのスピードにちょっと疲れて、思ったように眠れない日もあります(この頃は蛙の鳴き声

          20時に眠る街、徳島【エッセイ】

          詩人にとっての徳島【エッセイ】

          土曜日の朝や昼はどうも気だるくて、夜にならないと目が覚めない。セーラー服の時代から、オフィスカジュアルだとか言うベージュのジャケットを纏う今まで、毎週ずっとそうだ。私が生きている町はみんな眠るのが早くて、街灯や星、月くらいしか光がなくて、私にとってはそれが心地よかった。20時頃、真っ暗な道を1人で歩きながらラジオやiPodから流れる音楽に縋る。そうすることで私の目は起き、頭は冴え、私はようやく「わたし」になれる。今日だって、大森靖子さんの音楽を頭に流しながら歩いた。 この

          詩人にとっての徳島【エッセイ】

          小説『文字を煮る』

           「真面目な性格」と言われることに不満を覚えたのは、高校二年生の春のことだった。  大学生の今、本当は、講義なんかサボってゲームセンターに行ってみたいし、夜は賑やかな繁華街を闊歩したい。でも、それをしないのはやはり真面目な性格だからか、はたまたその行為に罪悪感や恐怖心があるからだろう。空席が目立つ講義室の前列で、レジュメに教授の言葉を書き込む。講義が終わるまで、あと十分。教授が次週の講義の予告を始めたことが、今日の講義の終わりを知らせる。後方で筆記用具を片付けるカチャカチャと

          小説『文字を煮る』

          ロリィタと生涯の目標と私

          私はロリータファッションが好きだ。胸元には大きなリボン、袖にはたっぷりのフリル、スカートにはパニエを忍ばせた可愛い可愛いファッション。それは日本独自の文化として世界でも注目されている。 2020年3月、入社直前のある日、私はその文化に急激に惹かれた。理由は分からないけれど、私が探していたものはこれだと思った。入社後、慣れないことや上手くいかないことばかりで激しく悩んだ時も、その文化に触れている時は幸福だった。インターネットには、そのファッションに身を包む人が放つ輝きで溢れて

          ロリィタと生涯の目標と私

          遊園地のうた。

          時が止まる錯覚 隣で子どもたちがはしゃいでいて 目の前で得体の知れない色の綿あめが 出来上がった 「もうすぐおやつの時間ですよ」と かれらが優しくわたしに告げるけど わたしはついさっき メリーゴーラウンドに酔わされたのです 色褪せたメリーゴーラウンドに ピンクと青と緑のそれらが 綿あめとともに溶けていく 3時を「15:00」と言うようになった わたし もう メリーゴーラウンドに 乗れないのかな 誰も迎えに来ない馬車がゆらりゆらりと わたしを誘うのに 「もう帰るよ」の声 「

          遊園地のうた。

          まつりまち

          これは、私が21歳の時に書いた小説作品で、第一回目の「阿波しらさぎ文学賞」に応募した作品です。 思い入れが強い作品なので、noteにて公開します。 ご感想などいただけたら幸いです。 まつりまち 微澄 「阿波踊り、見に行きたい。」 ひょうたん島久しぶりやな、と私が話しかけようとしたタイミングでがそう呟いた。 「めっちゃ急やな。人混み嫌いやったのに、東京で慣れたん?」 「それもあるけど。俺、ちゃんと阿波踊り見たことないけん学校で先生に阿波踊りのこと聞かれたら困ってまう

          夢の話をする。

          過去や年齢、環境を言い訳にして、「夢」を夢で終わらせようとしていた。「変わりたい」「変われない」を繰り返して生きてきた。 チャンスは山ほどあったのに、言い訳を重ねて何も出来なかった。過去に縛られていた、というより自分で自分を縛り付けていたのだ。 ここ数日の出来事を思い返す。大好きな音楽に直接触れ、知らない街に行き、新しい出会いを果たした。そして、憧れていた人に会った。 「絶対大丈夫。」と、その人は何度も私に言ってくれた。新しい約束もした。次にその人に会う時までに、私は強

          夢の話をする。