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いすゞ自動車事件②(平成27年3月26日東京高裁)

概要

自動車製造業等を営む一審被告の期間労働者又は就業先を一審被告とする派遣労働者であった一審原告らが、会社に対し、一審原告らの一部においては、労働者たる地位の確認並びに雇用契約に基づく賃金、就業規則に定める満期慰労金、不法行為に基づく慰謝料及び遅延損害金の支払いを、残りの一審原告らにおいては、不法行為に基づく慰謝料及び遅延損害金を求めたところ、原審は、一審原告らの一部の請求のうち、賃金支払請求を認容し、その余の請求を棄却したので、双方が控訴をした。

結論

変更

判旨

当裁判所も、第1グループ一審原告らに対する本件雇止めは有効であり、一審3名との間の退職合意は有効に存在したから、これらの労働者らの地位確認の請求、賃金請求(民法536条2項に基づく請求部分は除く)及び満期慰労金の請求は認められず、第5グループ労働者らを含む労働者らの各不法行為に基づく慰謝料請求もいずれも認められないものと判断する。

雇用継続への期待の保護の局面のみならず休業手当の支給割合についてまで、正社員と臨時従業員の処遇に差を設けることが一般的にも合理性を有するかは疑わしい上に、事業の性質上景気の変動に即応して柔軟な生産調整を図る必要がある会社が、大量の短期間雇用の臨時従業員を採用し、その雇用の期間限定性を利用してきたという本件の事情の下においては、会社が個々の臨時従業員との間で合意した雇用期間は、会社にとってのみならず臨時従業員にとっても重要な意味を持つのであって、その期間内の雇用継続の期待は会社において十分に尊重すべき義務があると解されるところであるから、臨時従業員らに対する一方的な労務の受領拒否に対して民法536条2項の権利行使を受けることもやむを得ないと考えられ、そして、同規定が適用される場合、労務の受領拒否がなかったならば受けられたであろう賃金を算定すべきであるから、平均給与額を基礎とすべきものと解される。

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