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スプリンターズステークス回顧

えっ、凄すぎ…なにこれ…。

強烈な差し脚に出会うと感情がパンクし、表現に困ります。今風に言えばエモいと言いたくなります。

私は差し・追い込みがあまり好きではありません。というのも、差し脚不発で後方待機を見ているのはつらいからです。
その分、逃げ馬は4コーナーまではだいたい見せ場があります。もちろん、バテるか粘るかは展開次第ではありますが…!

さて、10月の一周目の日曜日です。
海外ではフランスで凱旋門賞が行われます。
これはこれで楽しみがありますが、国内では秋の中山の最終週からはじまるG1連戦の開幕戦スプリンターズステークスです。

有力馬揃いの短距離戦で栄光に輝くのはどの馬でしょうか。

有力馬紹介

今回のスプリンターズステークスは昨年の勝ち馬タワーオブロンドンの姿がありませんが、有力どころが揃いました。

大本命はグランアレグリア。
前走、安田記念ではアーモンドアイ相手に2馬身差をつけ、快勝。2歳時から牡馬相手にG1を戦ってきました。朝日杯はアドマイヤマーズの3着、桜花賞を勝ち、NHKマイルカップは5着降着、阪神カップは貫禄勝ち。そして安田記念。常に上位争いを続け、4歳になった今、充実期を迎えているのではないでしょうか。唯一の馬券圏外はNHKマイルカップの5着降着のみ。スプリント界のG1馬たちも大物を迎えうつような存在感です。

モズスーパーフレア。
一時期、中山では無類の強さを誇る逃げを披露していましたが、逃げ馬の宿命か、一線級では展開負けすることもしばしば。しかし、前走の高松宮記念では粘り強い逃げがきいて2着。まだまだの健在ぷりをみせつけています。中山は得意コースではあると思いますが、ラブカンプーやビアンフェなどの同型の逃げ馬がいる今レースでどのような走りをみせ、展開をつくるのか注目です。

ダノンスマッシュ。トライアル番長、といったら失礼ですが、トライアルに勝ち、G1本番で惜敗が続きます。実力はあるのに主役には手が届かない準主役というような立ち位置です。今回もトライアルを勝ち、このレースに臨みます。今度こそ悲願を達成したいですが、立ち塞がる壁は大きいです。

ミスターメロディ。昨年の高松宮記念を制しています。中京コースで良績をあげていますが、けっして右回りがダメというわけではなく、昨年のスプリンターズステークスで4着ですから、侮れない存在です。元々ダートを走っていたこともあり、地方競馬の祭典JBCスプリントにも出走し6着の成績をおさめています。もしかしたら、ダートを走れるパワー型の方が今の中山の馬場にはあっているかもしれません。

実績上位は以上の4頭ですが、電撃のスプリント界に新たなスターが誕生する可能性もあります。

ダイアトニック。今年の前半は大変好調でした。京都金杯2着、阪急杯降着3着、高松宮記念3着、函館SS1着ときて前走はキーンランドカップ15着大敗。

北九州記念を勝ち、ここを目標してきたのはレッドアンシェル。中山での実績がないのが気がかりです。

エイティーンガール、重馬場の札幌でキーンランドカップを勝ち、ここに駒を進めてきました。西の馬らしく、中山実績がないのがやはり気になります。父ヨハネスブルクですから、時計がかかる馬場や道悪の方が得意かもしれません。

ライトオンキュー。年末に京阪杯を勝ち、夏の札幌でキーンランドカップ2着と上がり調子です。過去に準OP戦とはいえ中山1200mを勝っています。

ラブカンプー。3歳時は逃げまくって、スプリンターズステークス2着があるものの、それからというもの不振に不振を重ねて常に二桁着順。しかし、CBC賞では若手の騎手を背に逃げ切り勝ちをおさめ、復活アピール。大舞台で激走があるのでしょうか。

このように、重賞で実績のある馬が数多くいますので、上位馬と言えど、足元をすくわれかねません。

レース回顧

当日のパドックでは、グランアレグリアの+12キロが注目されました。
絞りきれなかったのではないか…そんな不安がささやかれます。

スタート前では、ビアンフェがゲートに入らず、右往左往。前に行く馬ですし、レースはじまる前からヤキモキ度が高まります。
ビアンフェが無事ゲートインすると、各馬順調にスタート態勢を整えます。
そして、ゲートが開き、レースがはじまります。
……もしも、場内にお客さんが入っていたら、場内はどよめきが起こっていたかもしれません。
出遅れてはいないものの、グランアレグリアとアウィルアウェイがダッシュつかず、最後方からスタートとなります。
一番人気グランアレグリアのスタートが悪く、鞍上が追っても反応が薄く、スプリント戦では致命的なスタートの悪さです。
一方、先頭争いは激しく、内枠スタートだったモズスーパーフレアが行く姿勢を見せますが、ゲート難があったビアンフェが絡んできます。ラブカンプーもその一団に入り、逃げ馬たちが競います。
時計がかかると言われる今の中山を考えれば早いラップを刻み、レースをつくります。
人気の一角、ダノンスマッシュはその逃げ馬たちをみる位置につけ、チャンスを狙います。
しかし、3コーナー付近でもグランアレグリアはまだ最後方。これはこのまま終わってしまうのでしょうか。
先頭はモズスーパーフレアとビアンフェが競り、後続に4馬身の差をつけます。
そうはさせじと3コーナーから4コーナーの勝負所で後続が追いつきます。
ビアンフェはいっぱいになりますが、4コーナーから直線に入ってもモズスーパーフレアはがんばっています。先頭に躍りでます。
後方でグランアレグリアがコーナーをまくって、ムチが入る。はたしてここから届くのか。
脚色がいいのは内からミスターメロディ。
外からダノンスマッシュ。
残り200m、ミスターメロディがうまなりでモズスーパーフレアをかわします。モズは力尽き、後退しています。
しかし、ここからミスターメロディの伸びが悪く、ダノンスマッシュがじわじわと伸びる。
今度こそ、G1獲ることができるのか、残り100m、ミスターメロディとダノンスマッシュの叩き合い。
ダノンスマッシュ、悲願のG1制覇か、と思われた矢先、とんでもないことがおこります。
後ろから差し馬が迫ってきます。
猛烈な勢いで追い込んでくるのはグランアレグリア!
他馬が止まっているようです、あっという間にダノンスマッシュに追いつき、難なくかわしていきます。
釣られて人気薄のアウィルアウェイも伸びてくる。
それでもダノンスマッシュは食らいつきます。
ミスターメロディをかわして二の脚をみせます。
しかし、その差は広がるばかり。
グランアレグリア、直線一気、残り200mからの競馬で2馬身差をつけ、ゴールイン!

まさに圧倒的な末脚を披露しました。

先に抜け出したミスターメロディか、じわじわと伸びるダノンスマッシュか、といった争いはどこ吹く風。
終わってみればグランアレグリアの圧倒的な末脚で圧勝したレースでした。
あの末脚を言葉で形容するのはとても難しいです。
誰しもが4コーナーでもうダメだと思ったことでしょう。
あれを見れたことは私の競馬人生に深く刻まれることでしょう。
そして、グランアレグリアはこのタイトルを手にしたことにより、マイルはもちろん、スプリントG1を制し、これで短距離界で不動の地位を築いたといえるでしょう。
例年なら海外での期待をするところですが、次はマイルチャンピオンシップでしょうか。
この機会に国内短距離戦を総ナメとかあるんでしょうか。
馬券はアウィルアウェイが飛び込んできて、ハズレましたけど、わたしとしてはまたグランアレグリアの走りが見たい、と思えるレースでした。
それにしても、いい追い込みぷりでした。
今回はその一言に尽きます…!

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